弘前大学

大学コンソーシアム学都ひろさき設立10周年記念シンポジウム 「学都ひろさきの未来をデザインする」開催

2018.02.05

弘前大学を含む弘前市内の6大学で構成している大学コンソーシアム学都ひろさきでは,平成29年12月17日(日)に,大学コンソーシアム学都ひろさき設立10周年記念シンポジウム「学都ひろさきの未来をデザインする」を弘前文化センター(青森県弘前市下白銀町)で開催し,約170名の市民,学生,関係者が参加しました。
本シンポジウムは,平成29年10月22日(日)に本コンソーシアムが設立10周年を迎えたことを記念して行われたもので,「地域を支えるものづくり・人づくり」,「地域コミュニティの形成」という観点から,弘前市の魅力の再発見と発展を考える機会を市民に提供することを目的に開催され,基調講演及びパネルディスカッションの2部構成で行われました。
始めに,「日本の伝統を次世代につなぐ~文化と経済両輪での成長を目指して~」をテーマに,若手起業家の矢島 里佳 氏(株式会社和える代表取締役)から講演いただきました。矢島氏は,「三方良し(自分良し,相手良し,社会良し)の考えを根底におき,自分自身と対話し,自分を知ること。また,自分が興味,関心のあることを口に出し,誰かに知ってもらうことが大切である。誰かに知ってもらうことで,実現出来る可能性が高くなる。」,「学生が持っている価値は,その世代の感性である。そういう人達が大人になり,新しい世代が生まれる。大人は,学生から若い感性を学び,学生は大人達から,経験値として足りないものを補ってもらい,互いの持っていないものが和えられることで,新たな可能性,イノベーションが生まれる。」と自身の経験を通して感じたことや学生が持つ可能性について,考えを述べられました。
コミュニティデザイナーの山崎 亮 氏(株式会社studio-L代表・東北芸術工科大学教授)の基調講演では,「地域社会を充実させる『縮充』を求めて」をテーマに,日本全国で行ってきた,コミュニティデザインの事例等について講演いただきました。講演の中で,「“学都ひろさき”の未来を誰がデザインするのかを考えると,やはり市民が考えるべきである。そのために,まちについてしっかりと理解し,自ら動き出す人が増えながら,人口が減少するという少数精鋭化した弘前をどのようにして創るのか。また,その時に,専門家はどの程度,専門性を発揮すれば良いのかを見極め,どのようにして市民に主体的になってもらいながら,未来を創っていくのかが問われてくる。」と,人口が減少しても,温かい国が維持できるような,地域づくりの重要性について,熱く話していました。
第2部では,大西 晶子 氏(NPO法人SEEDS NETWORK理事長),学生の橋本 馨 氏(弘前大学教育学部3年)が加わり,「学都ひろさき型コミュニティの形成を考える」をテーマに,パネルディスカッションが行われました。橋本氏から「当事者意識の造成の仕方が課題だと感じる。地域での活動に受け身の学生達に対し,どのようにして当事者意識を持ってもらえばよいか。」と実際に地域に出て活動していく上で感じる問題について問いかけがあり,山崎氏から,「何かやろうとした時に,①当事者意識を持っているコアメンバー,②それを支えるスタッフ,③何かあれば参加するサポーターがいるという形になるのがほとんどだと思うが,それで良い。大切なのは,何かやりたいと感じた人が出てきた時に,その人がコアメンバーとして活動が出来るような環境づくりや,サポートをしてあげられる関係性を築くこと。」とアドバイスしていました。
参加者は,終始真剣な眼差しで講演を聴き,地域に出て活動していく上で大切なことや,自分たちが住む弘前市の未来について,自分自身がどのように地域と関わっていくかを見極めていくことの大切さを学び,大変有意義なシンポジウムとなりました。

佐藤 敬 弘前大学長の挨拶
葛西 憲之 弘前市長の来賓挨拶
矢島 里佳 氏の講演の様子
山崎 亮 氏の講演の様子
真剣に講演を聞く来場者
自身の活動経験について述べる大西 晶子 氏