弘前大学
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■「弘前大学に関する卒業生アンケート」及び「企業等アンケート」集計結果の検証について

 平成17年度より隔年で,本学の卒業生に対し在学時の教育内容・施設設備等・課外活動・就職活動といった学生生活の満足度やその修得効果,今後の弘前大学の教育や学生支援への要望についてアンケート調査を行っています。同時に本学卒業生を採用していただいている企業等にも本学卒業生の印象,本学に求めるものなどについてアンケート調査を行っています。ここに平成23年度のアンケート調査結果がまとまりましたので,公開いたします。アンケート調査にご協力いただいた企業等の皆様,卒業生の皆様に感謝いたします。
 弘前大学での生活を経験した卒業生の回答は,今後の弘前大学の教育・学生生活の充実・改善に重要な情報です。ほとんどの項目がおおむね満足という結果でありますが,その評価は学部によって,特に文系と理系で多少異なることは示唆に富むものと思われます。一方,企業等からの回答は,弘前大学卒業生を客観的に評価した情報として,大学として教育に関するさらなる改善を重ね,企業等から高い評価を得るように努力したいと思います。
 加えて,各学部の検証結果を記載していますので,参考にしていただければ幸いです。

平成24年 5月                 
教育委員会委員長 中 根 明 夫

○人文学部

  • 問4
      5:満足,4:どちらかといえば満足,という回答があわせて80%を超え,全学で最も高くなっている。人文社会系では年齢とともに知識,経験を重ねることとそれぞれの分野の理解力が正比例するからであると考えられる。
  • 問5
     かつては全学でもっとも設備が貧弱であったが,改修以降学生研究室等の整備も行われ学生の勉学の環境は改善したと考えている。
  • 問6
     文科系と体育会系では活動の内容と必要とされる設備等の性格が異なる。
     3:一概には言えない,という答えが多いが,文系は少人数でサークルを組む事例が多く,対応が難しい。
  • 問7
     5:十分だった,4:不足だが問題はなかった,の合計が60%を超えるよう努力が必要である。
  • 問8
     5:良い方に変わった,4:少しは良い方にかわった,という回答が90%近く,全学で最も高い。人間的にもっとも成長する時期であり,人文系としては,妥当な数値であると考える。
  • 問9・問10
     幅広い知識,教養を身につけることの重要性や,専門外の分野に興味を持つようになるのは,むしろ学年が進んでからで,いわゆる教養科目を入学直後の学年に配置することは再検討が必要であると考える。
  • 問12
     回答者が卒業後2年以内であり,大学で学んだ事の意味を十分に考え,評価する事は難しいと考える。
  • 問13
     3:一概に言えない,2:あまり役にたっていない,3:役にたっていない,の合計が40%近い。学生が何を求めて入学し大学生活をどのように送っているか精査する必要がある。
  • 問14・問15・問16
     今後の学部改革の機会に参考にしたい。

○教育学部

  • 問4
     教育学部の場合,比較的満足度が高いと思われる。昨年と比しても大差はなく,満足度の高さは継続している。
  • 問5
     教育学部校舎は,平成21年度より耐震改修改築工事を行っている。完成までに最低3カ年を要するが,施設・設備の不満が改善されることを期待している。
     昨年から比べると若干,改善されたと感じているような結果であり,今後,新しい施設になった際にまた検証したい。
  • 問6
     課外活動に関わる施設や設備については,問題はないとの結果となっている。昨年と同様の結果である。
  • 問8
     学生生活によって「自分が良い方向に変わった」と肯定的評価の割合が高く,昨年の結果より,さらに増加して,良い評価になっている。
  • 問12
     教育学部は他学部に比して仕事の上で「役にたっている」との回答が多く,肯定的評価が多い。
  • 問13
     教育学部は日常生活においても大学での経験が「役に立っている」との肯定的評価が多く,今後も努力を続けたい。

○医学部医学科

 アンケートの結果は平均回収率が約20%と低いが,医学科は約15%と全学部学科の中で最も低かった。集計結果については医学科に関しては概ね前回と同様であった。
 ところで,回収率はデータの信頼性に関わるため,今後の調査においては回収率を改善するための対策が必要である。
 「教育に対する満足度」(問4)は前回よりやや低い評価となった。これは単なる統計的な問題の可能性もある。実際,医学科の独自アンケート調査(卒業時に実施,回収率は平均30%弱)においてはこの様な傾向は見当たらない。ただし,今後の推移については注意して見ていく必要はある。
 「施設・設備等の充実度」(問5)においては前回と同様に顕著に低い評価となった。この主な要因は平成17〜20年度の4年間にわたる医学部校舎の改修工事の影響によるものである。回答者は少なくとも在籍時の半分の期間,工事による騒音や施設などの利用制限など,様々な形で学生生活に影響を受けた。この事は反省しなければならない。ただ一方で,施設環境面では私立大学等と比べた場合,明らかに差がある事も事実である。これらの改善については予算などの問題などが大きく今後の課題である。
 「就職活動への支援」(問7)は医学科には意味の無い設問である。医学科の学生は卒業後はほとんど医師への道に進むが,その際,まず2年間,病院での研修をしなければならない。研修する病院はマッチング制度によりコンピュータにより全国一斉に決められる。以上から,問7で想定している事とは,まったく異なっているものと考える。
 「仕事で大学での知識や経験が役に立っているか」(問12)も前回と同様に高い評価であった。これは医学部(医学科,保健学科)や教育学部といった人材養成機関にとっては,この設問は社会的使命を見る尺度といえる。この結果から,その使命に答えられている,と解釈してよいものと考える。
 また本学の医学教育における取り組みの成果は,本アンケート以外でも医師国家試験などに現れている。過去5年間の医師国家試験の合格率は全国の80医科大の中で常に10〜40位と上位を維持している。

○医学部保健学科

  • 問4
     「満足している」と「どちらかといえば満足している」を合わせると,78.8%を占めており,前回結果の約62%を約17%上回っている。また,全学の結果72.6%もやや上回っている。しかし,約20%は,「一概に言えない」「どちらかといえば満足していない」「満足していない」と回答しており,今後,さらに教育内容の改善に努めていく必要がある。
  • 問5
     「不足していたが学習や研究はできた」が41.2%と最も多く,次いで「十分だった」29.4%,「一概にいえない」21.2%,「不十分で学習や研究がやりにくかった」8.2%の順であり,「不十分で学習や研究ができなった」は0であった。前回の結果と比較すると,「十分だった」が16%から約29%に上昇し,「十分だった」と「不足していたが学習や研究はできた」の合計も51%から約71%に増え改善がみられているが,引き続き改善に向けた努力を要する。
  • 問6
     「十分であった」,「不足していたが課外活動はできた」及び「一概にいえない」が,それぞれ約30%で,「不十分で課外活動がやりにくかった」が約10%であった。「十分であった」と「不足していたが課外活動はできた」の合計は,約60%であり,前回の結果から4%低く,課外活動に関わる設備,備品の充実に努める必要がある。
  • 問7
     「十分だった」47.1%と最も多く,次いで「不足していたが就職活動に問題はなかった」34.1%で,合わせると81.2%であった。これは,全学の平均58.6%を約22%上回っていた。また,前回の結果64%を約17%上回っており,クラス担任による指導や保健学科独自で開催している合同病院説明会等の就職支援の成果と考えられる。
  • 問8
     「良い方に変わった」54.1%と「少し良い方に変わった」29.4%を合わせると83.5%であり,全学の平均とほぼ同じであった。また,前回の結果とほぼ同じであり,多くの学生は大学生活によって自己を見つめ成長していると考えられる。
  • 問9
     第1位が「教養・知識」17.9%で他学部と同様であったが,その割合は他学部に比してやや低かった。第2位が「職業上役に立つ知識と技術」14.2%,第3位が「特に専門的な知識と技術」12.8%であった。第1位から3位までの順位は医学科と同じであり,保健医療専門職の養成という教育の特徴が反映されたものと考えられる。
  • 問12
     「役に立っている」64.7%と最も多く,次いで「非常に役に立っている」18.8%で合わせると83.5%であり,前回の結果52%を約30%上回った。また,この割合は,全学平均より約20%多かった。今回の対象者はカリキュラム改正後の卒業生であり,改正したカリキュラムの効果が反映したと考えられる。
  • 問13
     「役に立っている」48.8%と最も多く,「非常に役に立っている」と合わせると69%であり,前回の52%から17%上回り,また,全学の平均をやや上回っていた。保健医療に関する専門的知識・技術は,日常生活に多々生かせるためと考えられる。

○理工学部

 教育内容全体に対する満足度は,理工学部では「満足している」「どちらかと言えば満足している」合わせて62%,かなりの割合の卒業生が充実した学習成果をあげられている結果と思われます。一方,わずかでも満足感を得られていない学生の割合は10%に留まり,平成18年度の理工学部での学科改組から初めての卒業生を送り出した初のアンケート結果から,基礎学力を重視したカリキュラムと実験・演習に重点を置いた教育プログラムの編成等,理工学部におけるこれまでの教育改革の効果が着実に表れてきた結果と思われます。今後,学生教育相談室の強化や実験・演習科目へのTAの増員配置等,学生への学習支援策の充実により満足感を得られない学生の割合の減少につなげていきたいところです。
 学習や研究に関わる施設,設備,備品については,理工学部に関連する機器分析センターにおける機器の整備を含めて,理工学部全体の研究設備の充実が図られてきた結果,施設,設備,備品に関する満足度は比較的高まってきたように感じます。理工系学部においては,先端的な技術への開発研究教育の充実が避けて通れず,設備の更新や先端機器の新たな導入等,継続的な施設,設備,備品の充実を今後も続けていくことが重要と思われます。
 課外活動に関わる施設,設備,備品については,「一概に言えない」との回答が理工学部を初め,すべての学部での回答結果で多数を占めているように見えます。一方,否定的な割合は少なく,課外活動に関わることが少なかった卒業生が判断に迷って,この選択肢を選んだ結果とも考えられます。課外活動に関わる施設,設備,備品についても充実が図られてきたところですが,今後も継続していくことが重要に思えます。
 就職活動への支援については,「一概に言えない」との回答がかなりの割合を占めているように感じます。昨今の自由応募による就職活動を取る学生の割合の増加から,支援を受けているが自主的な活動により就職活動を乗り越えている学生の割合が増えてきた結果の表れと思えます。一方,就職活動への支援の満足度の高い卒業生は半数以上いることからも,今後も学部教員と就職支援センターの連携を強化した就職支援の継続が重要と思われます。
 学生生活によって,自身が良い方向に変わったかどうかの設問には,理工学部を初めほとんどの学部の卒業生から,肯定的な評価を受けています。各分野での継続した取り組みが評価されている結果と思います。
 理工学部では全学的に高い「教養・知識」に加え,「物事を考える多角的な視点」「論理的な思考力」が身についたと感じる卒業生が上位を占めています。理工学部が目指す「科学・技術の発展に貢献できる個性豊かで独創性に富んだ人間性の形成に向けた教育」の成果が表れた結果と考えられます。問9の結果は問11の21世紀教育科目についての項目「幅広い知識の習得」への高い要望と一番身についたのが知識関連する結果となっています。「総合的な判断力」「豊かな人間性の涵養」のような画一的な物差しで測ることのできない事項について明確な指導ができる体制の整備が求められる結果ではないでしょうか。
 科学・技術の発展は著しく,大学を卒業後もそれぞれの分野で絶えず学習を続けていく必要に迫られることは容易に推測できます。問12において理工系学部での評価が低くなるのはそのためとも考えられます。一方,役立っていないとの回答差には差異は少なく,理工学部で取り組んできた基礎学力を重視した教育プログラムの成果により,それぞれの分野で活躍するに十分な基礎学力の習得がなされてきた結果の表れとも思えます。この考えは生活全般にも通じ,問13の結果についても同様に考えることが可能です。
 今後の教育や学生支援に関する要望に関する設問,問14〜16においては,集計が大学全体での結果か,多岐にわたった幅広い意見が寄せられたものと感じます。理工学部で取り組んできた「深い専門知識」と「幅広い基礎的学力」の2つの項目はいずれも高い数値を示しており,理工学部のカリキュラムが学生の期待に添うものと思えます。研究室・ゼミ活動の充実についても学部後半から大学院教育において充実が図られてきており,大学院教育を含めた教育の重要性が現れている結果と感じます。また,社会人を対象とした大学院コースの設置等,卒業生が再度本学で学ぶ環境が整えられてきたことで,問16ではその期待の表れも含まれている結果と思えます。

○農学生命科学部

  • 問4・5
     ・弘前大学農学生命科学部で受けた教育内容に対する満足度については,否定的な意見が13.1%であったのに対して,67.2%と大半の卒業生が肯定的な評価をしていた。学部の教育目標が大部分の学生に理解されているものと判断している。
     ・平成19年度から学部経費を利用して教育・研究支援経費を配分しており,さらに学部後援会からの支援を得て,学生の学習室やロッカールーム等の整備も進めている。これらの成果と考えられるが,学習や研究に関わる施設,設備,備品についても同様に,大半(62.7%)の学生が肯定的な意見を寄せていた。
  • 問6
     ・課外活動に関わる施設,設備,備品に関する問では,概ね満足していたのは57.3%で半数を超えていた。しかし,企業側からは学生のコミュニケーション不足が指摘されているので,課外活動の重要な人間性涵養の場としてこれらの整備は今後の課題と考えている。
  • 問7
     ・就職活動への支援については,肯定的な意見が45.9%と半数に満たなかった。この点の指摘は卒業直前に実施したアンケート調査で把握できていたので,本学部では平成21年度から就職対策委員会を学部で立ち上げ,委員を各学科から選出する体制を整えたところである。本委員会の就職支援活動が今後学生に浸透することにより,卒業生からの不満は解消されるものと期待している。
  • 問8
     ・学生生活で感じたこと,身についたと思うことについての設問では,大多数の学生(80.3%)が良い方向に変わったと感じているので,本学部の教育目的が理解され,機能しているものと判断される。
  • 問9〜11
     ・21世紀教育・専門教育全体を通して,身についたと思われる項目は,以下のとおりであり,企業が本学卒業生に求めている資質とかなり共通していた。したがって,本学の教育体制は機能しているものと判断している。
      「教養・知識」        25.0%
      「多様な文化の理解」  12.2%
      「考え方の柔軟性」   10.8%
  • 問12・13
     ・特に仕事に関わることで,弘前大学で学んだことや,大学での経験が役に立っているかとの設問では,大半の卒業生(65.0%)が弘前大学で学んだことや経験が仕事以外の日常生活の中で役に立っていると感じており,学園生活の意義が感じられる。一方,仕事に関わることで役立ったと感じた割合がやや低下しているが(55.3%),これは農学や生命科学分野の専門性が業種的にかなり広いという特殊性に依るものと考えられる。すなわち,食料の生産,加工・製造,流通 と広範な領域が活躍の場となるので,学生時代に修得した専門と就職先の業務内容が合致する方がむしろ稀なケースとも考えられる。
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