☆はじめに
私は2003年4月から2004年2月まで大韓民国テグ大邱市慶北大学校へ留学した。私が留学を思い立ったのは短期留学推進制度の締め切り間際だった。きっかけは何気なくみた掲示板で、南米チリ共和国にある大学と提携したと知ったことだった。問い合わせたところ、まだ受け入れ体制が整ってないとのこと。出鼻をくじかれた私はなにがなんでも行きたくなりハンナ先生に相談し、大韓民国の慶北大学校を勧められた。1年生の時第2外国語で習った韓国語を話せるようになりたいという思いがあったからだ。遠い−近い、スペイン語−韓国語などなど全然違うじゃないかと思われるだろうが案外きっかけってそんなものなのかもしれない。
☆渡航準備
1. パスポート
2. 渡航航空券
3. ビザ
4. 滞在先の手配
5. 荷物の発送準備
6. 留学保険の手配
7. 留学資金管理
8. 所属学部への届出
1. パスポート
ビザ取得時に必要。早めに用意するか、すでに持っている人は期限を確認する事。
2. 渡航航空券
青森空港から仁川空港に週三回、日・水・金曜日出航しているが、1年オープンは9万円近くする。成田−韓国(仁川・釜山)間も1年オープンだとやはり8万ほどになる。逆に韓国からの1年オープンはJALなど学割があって4万程度で済む。
私はインターネットとパンフレットで安い航空券を探し、弘前−東京間のノクターン分を合わせて?片道、?期間の短い往復を買って片道捨てる、?直接青森から行くか比較し、一番安い方法を探した。また、関西空港−韓国便はお手ごろ価格が多く、大阪・福岡などからは船も出ており、実家が関西・九州方面の方にはおすすめかもしれない。なれない方は旅行社を通すしかないが、インターネットが断然安い(随時比較検討のこと)。これら渡航にかかった費用は帰国後奨学金の申請時に必要になるかもしれないので、日本国内の移動費(バス・電車など)や韓国内での移動費も含め、領収書などかかった費用がわかるようなものは全て控えておくこと。決して捨てないように。
3. ビザ
私の場合交換留学生だったので、慶北大学校からの受け入れ証明書(入学許可書)とパスポートの証明写真があればD-2 のビザが一日で取得できた。但し、本人が直接仙台の領事館へ行き、午前中に手続きをしなければならない。申請料は無料。受け取りは郵送にしてもらってもかまわない。C-3 やD-4、その他のビザについては申請から取得までに1ヶ月以上かかるものもあるので、随時直接領事館に電話で直接問い合わせること。
韓国についてからは国際交流センターの先生がテグ出入国管理事務所(Daegu Immigration Office)へ連れて行ってくれた。この時パスポート、カラー写真(3×4cm)、申請料10.000ウォンが必要となる。D-2以外のビザで、延長申請などする場合は延長申請料なども必要。
4. 滞在先の手配
基本的に交換留学生は大学校キャンパス内の寮に住める。
5.荷物の発送準備
EMS、航空便、船便、SALなど方法はいろいろある。EMSは2〜3日で着き、最も安全だが、その分値段は高い。航空便は1週間ほど、船便は安いがへたすると1ヶ月近くかかることもあるので、急ぐ場合、確実に届けたい場合はお勧めできない。
私の場合、日本から荷物を送ってもらう場合EMS,韓国から帰国する時は船便を利用した。
スーツケースを持っていく人がほとんどだと思うが、重量オーバーだとそのぶん払わなければいけなかったりする。航空会社ごとに重量制限が異なるので、25kg超えそうな場合確認したほうがいい。
6.留学保険の手配
私は大学のプレイガイドで東京海上の保険に加入した。さまざまなプランがあるが、私は14万位のものに加入した。テグの場合、無料で受けられる病院がないため、後日請求というかたちになるが、思いがけず、骨折してしまった私としてはやっぱり入っていてよかったと思う。病気・怪我だけでなく、盗難・器物破損など、自分の必要に応じて選ぼう。
7.留学資金管理
授業料不徴収の学生は寮費と食費を払うことになる。奨学金がもらえなかった学生は寮費+食費=月2万円と、その他もろもろ必要になるだろう。毎月仕送りしてもらったり、日本から直接1年分の現金を持ってきたりと人により異なるが、私はトラベラーズチェック(T/C)をいくらか作り、あとはVISAカードと少しの現金(日本円)を持っていった。利子分を考えれば、現金を直接持ってくるのが一番お得だが、私は安全面を重視した。
テグ市はどこのATM機でもワールドキャッシュカードが使えるわけではない。大学内の銀行の前にあるATM機1台と、北門にあるテグ銀行のATM機、テグ空港のテグ銀行は使える。ソウル市内ならほとんどのATM機が使えた。テグ市内はForeign Card OK と書いていても使えない所が多い。実際使えるところでも単に機械にお金が入ってないだけだったり、いきなり故障していたり、いざというときに使えなくて困ることが多かった。しかし、私以外でそんな目にあった日本人はいないようだった。なぜだろう。私はカードが使えなくなるたびに銀行員とけんかしていた。韓国では大きい声を出して感情的に怒鳴ったほうが勝てる。冷静で論理的思考などというものは通用しない人が多い。初めての時は日本と同じように丁寧にお伺いに行くが、やっぱりまちがっても「すみませんが」とか「お手数ですが」などと言ってはいけない(教科書には書いてあるけれど)。その時点でどれだけ銀行が悪くてもこっち(客)の負けである。偉い人が出てきて敬語で対応されるまではひるんではいけない。銀行側が悪いことがわかると今度は情に訴えかけるしかない。自分がどれだけ困っているのか伝わればもともと世話好きな彼らはなんとかしてくれる時もある。ある時は使えそうなATM機を探すべく私を車に乗せて連れて行ってくれた。2,3回トラブると相手も顔を覚えてくれ最初から丁寧に対応してくれるようになった。ただ、人それぞれなので、くれぐれも相手の出方を見ること。
8.所属学部への届出
私のように休学していく場合休学手続きをして行かなければならない。休学は教授会で認められるため、留学として行くにせよ、休学として行くにせよ、留学が決まった段階で各自が所属する学部に問い合わせ手続きすること。
また、帰国後交換留学生の場合自動的に復学になるが、学部によって異なるかもしれないので、帰国後の手続きについても渡航前に確認すること。
☆韓国語プログラムについて
慶北大学校内にある語学堂で主に韓国語を学ぶ。交換留学生でも韓国語プログラムの学生ということで事務的手続きをすると正規の授業の申請・単位認定などがしにくくなる場合があるので、正規授業の単位取得を希望するものは学部間の交換留学生として留学したほうがいい。
〈韓国語プログラム時間割〉2004年度
1学期 3/15〜5/21
2学期 6/7〜8/13
3学期 9/6〜11/12
4学期 12/6〜2/18
月曜日〜金曜日
午前10:00〜12:00 昼休み12:00〜13:00 午後13:00〜15:00
文法・表現・会話・書き取り・聞き取りなどを一通りレベルに応じてクラス分けされる。
演劇の練習をしているクラスもあった。中国人が圧倒的に多いが、仕事、国際結婚などで勉強をしにきている方もいるので年齢層も国も様々でおもしろい。夕方から夜にかけても韓国語の授業があるが、レベルやクラスによって曜日・時間が異なる。夕方は昼間と違って英語など語学の先生や研究生が増える分人数も多く、国籍もバラエティに富んで昼間とは違う楽しさがある。
※ここに載せた時間割はあくまで私が帰国する時に発表されていたものなので、随時確認すること。
〈費用〉
授業料 語学堂(韓国語)1学期あたり800ドル(米ドルで支払わなければならない)
※ 授業料不徴収者はもちろん支払わなくてよい。
☆生活について
〈寮の食堂の時間〉
朝 7:00〜9:00
昼 11:30〜14:00
夕 17:30〜19:00
〈寮について〉
A棟 学部男子寮。2人部屋。各階バストイレ共同。
B棟 学部男子寮。4人部屋。各階バストイレ共同。
C棟 学部女子寮。4人部屋。各階バストイレ共同。
D棟 大学院生男子寮。2人部屋。各階バストイレ共同。
E棟 男子寮。2人部屋。各階バストイレ共同。
FU棟 学部女子寮。2人部屋。各階バストイレ共同。
FS棟 大学院生女子寮。2人部屋。各部屋にバストイレ付。
G棟 女子寮。
寮にはカードキーで出入りし、大学院生寮は時間に規制がない。学部生寮は1:00〜5:00出入り禁止。FS棟とG棟以外には基本的に入り口に管理人のおじさんがいる。2004年2月まで留学生は大学院生寮に住んでいたが、規則が変わり、2004年3月からは留学生も学部生ならば学部生の寮に住まなければならなくなった。また大学院生寮にあったキッチンは2004年3月から火事の危険性のため使用禁止になった。
各寮にコインランドリー、ラウンジ(TVがある。)、PCルーム、簡単なトレーニングジム、自動販売機(FSは無し)、棟によっては自習室、お祈りの部屋などもある。
寮の部屋は、ベッド、机、ロッカー、小さな本棚があり、カーテン、照明つき。インターネットも接続可。枕、敷布、布団などは各自で用意しなければならない。毛布は貸してくれる場合もあるので、寮のおじさんに交渉してみること。
〈ルームメイト〉
私は日本人と二人部屋だったので、文化や習慣に戸惑うこともなかったし、むしろものすごく助けられたし、迷惑をかけっぱなしだった。今は規則が変わり、学部生は韓国の学部生と生活することになった。韓国人は「みんな」とか「一緒」とか時間も物も共有したがる傾向があるのでプライバシーに立ち入ってきたり、許可なく勝手に人のものを使用したりする人が少なくない。そんな場合は早めにはっきり言おう。逆に困っている時は親身になっていろいろしてくれたりするので共有の加減を見つければうまくいくはず。
〈電話〉
基本的には各部屋についていて受け取り可能。大学校内であれば、全て内線でつながっているのでかけられるが、それ以外は公衆電話か携帯電話からかける。私は安い国際電話カード(実際は番号)を購入し、韓国の携帯電話からかけていた。携帯電話は外国人の場合プリペイドで契約できる。銀行引き落としでプリペイドじゃなく使いたい場合、韓国人の友達にお願いして通帳だけ自分のものにすればよい。使用者の名義と通帳の名義が異なっても大丈夫ならしい。寮の部屋の番号は+82-53-950-××××。
〈寮費〉
1ヶ月あたり維持費1万円+食費(寮の食堂3食分)1万円=2万円程度
大学の前期・夏休み・後期・冬休みというわけ方で請求され、郵便局に直接韓国ウォンで支払いにいく。寮の食堂を使用したくない場合は寮の事務室で手続き可能。
〈その他〉
サークルや同好会などたくさんある。私はあえて外の道場にテコンドーを習いに通った。市内まではバスで15分くらい。大学にある売店や北門にあるお店、ショッピングセンターで日常品はだいたいそろう。
☆気候
2003年は異常気候で梅雨が長く、夏涼冬暖だったらしいが、本で読んだ通りテグは夏と冬しかない。急に暑くなって、紅葉したかと思うと一気に落葉して、急に寒くなる。めったに風邪を引かず毎日イソジンでうがいしている私でも乾燥した気候に喉がやられることが多かった。太平洋側で育った方は大丈夫かもしれないが、弘前の気候とは全く逆なのでそれなりの対応をしなければならない。私の場合特に秋から冬にかけて乾燥がひどく、日本で売ってない750mlの特大ニベアローションも全身に使って1ヶ月で使い切ってしまうほどだった。紫外線も強いので日焼け止めもお忘れなく。途中でめんどくさくなった私のお肌は見事にそばかすだらけになった。髪も染めていないのに茶色くなりパサパサ。今まで見たことのないような芸術的な枝毛にたくさん出会えた。
とにかく乾燥しているので乾燥肌の人はもとより普通肌の方も保湿効果の高いものを持っていった方がいいかもしれない。もちろん韓国でも買えるが化粧品にこだわりのある方はぜひ用意を。
☆韓国の学生や人々
韓国は儒教の影響を受け、年功序列、男尊女卑が根強くあるように思う。ソウルならわからないが、私は第三の都市とはいえ、保守的で伝統的な町にいた。留学生が必ず受ける質問は?いつ来た??どこから??歳は??恋人はいる?である。?と?は当たり前で仕方がないが、?と?は韓国の文化を象徴しているように思える。血がつながってなくとも年上なら「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼び、敬語を使うが、同い年や年下なら名前を呼び、タメ語を使うのだ。そのためにまず歳を聞かれる。次に?だが、鍋料理に代表されるように、なんでも「みんなで一緒に」という意識が強く、それはまた「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼びあう大家族構想でもあるようだ。一人でいることをあまりよく思わないため、恋人がいないなら相手を紹介してあげようと思うそうだ。私は日本人だし、年上には敬語を使いたいので?はまだよかったが、?はおせっかい以外の何者でもないと思った。逆に女友達紹介してと頼んでもあまり親身になってくれない。どことなくつじつまがあわない。老若男女問わず聞いてくる。あいさつと同じレベルで聞いてくるので、挨拶だと思って適当に流そう。挨拶といえば「ご飯食べた?」も質問というよりあいさつならしい。最初知らなくていちいちまじめに答えていたこともあった。
韓国では教育熱が異常なほど高く、そのためか大学生も朝早くから夜遅くまで図書館にこもって勉強している。試験前はもとより、それ以外の時期も座布団からスリッパ、コップなどを持ち込んでまるで自分の部屋のように過ごしている学生も珍しくない。出席日数も厳しいため講義もみんなまじめに通っている。単位も取るだけではなく、良い成績で取得できなければだめなようだ。また不景気による就職難から語学熱もすごい。ことTOEICに関しては全員と言っていいほど受験しなくてはならないものという意識があるようだ。もともと英語と日本語を勉強する人が多いが、最近は中国語が人気なようだ。また、徴兵制度もあるため、男子学生にとっては大きな転機となる。入隊する時期は人それぞれだが最短でも2年2ヶ月は軍隊で訓練するため、男子は25歳過ぎた学生も多い。逆に女子は幼い印象を受ける。良くも悪くも無邪気な人が多い。
そして勉強も熱心だが遊びもすごい。遊ぶとなったらとことん遊ぶ。飲むとなったらとことん飲む。大概がビールか焼酎ストレート。焼酎はワンショットグラスで飲むので、お酒が弱い人には辛いだろう。とにかくよく食べよく飲む。とにかく歌って踊ってノリがよい。そして語るときはとことん語る。とにかくエネルギィッシュ。そしてまた次の日には朝から図書館で勉強しているのである。
韓国人と日本人は見た目が似ていて地理的にも近い分同じだと思いがちだが、文化も習慣も全く違う別の国だと認識しなければならない。お互いが勝手に同じだと思い込むがゆえに生じるトラブルもなくはない。足して二で割ればちょうどよさそうなくらい全く正反対の部分もたくさんあるので、「郷に入りては郷に従え」である。バスでお年寄りに席を譲るのは当然ながら、荷物をたくさん持っていると、逆に座っているおばあさんが荷物を膝にあげてくれようとする。ちょっとでも道に迷ったそぶりを見せると「どこへ行きたいんだ。」と話しかけてきて親切に道を教えてくれる。ましてや外国人となると手が痒くなるのか口を出さずにはいられないようだ。特に韓国の初日ほど印象に残らない日はない。釜山からテグ行きのバスに乗る時右往左往している私に無言で指差してバス乗り場を教えてくれたおじいさん。テグのバスターミナルでうろうろしている私に声をかけ自分の携帯電話から私の友達に連絡してくれたお兄さん。基本的には親切心でただ助けてやりたいという思いで彼らはいっぱいなのだ。彼らは情(ジョン)と恨(ハン)は他国の人には理解できないと言うが、少なくともわたしの思うところの暖かい情は感じたつもり。
☆感想
全く韓国語ができなかった私は1学期と2学期は語学堂の授業とテグの暑さでいっぱいいっぱいだった。3学期は学部の後期の授業を聴講してみたりもした。ただでさえ予定がころころ変わる韓国なのに、とにもかくにもSARSのせいで計画通りには行かなかった。急に夏休みがなくなったり、臨機応変に対応するしかなかったが、今思うと、たとえ大変でも学部の留学生として語学だけではなくもっと専門的なことを学べばよかった。こんな贅沢に時間を使えることはもう二度とないのかもしれない。それから、世界中どこに行っても変な人はいるものだ。私はけっこう変な人に会った気がする。韓国人は情を大事にするという主張のもと、夜中だろうとしょっちゅう電話をかけてきて困った。男なら恋愛感情がないことをはっきり伝えればそれでなんとかなるが、女が女にしつこい。まるでストーカーのようで最後のほうは電話線を切るほどだった。というと、とっても嫌なイメージだが、それを弘前大にいる韓国の留学生に言ったところ、特別変な人に会ったみたいで非常に恥ずかしいと言われた。いい人は忙しいんだよ。とも言った。確かに、思い出してみるといい人たちは忙しくてなかなか遊べなかった。何回も言うが、変な人は日本にだっているし、世界中どこにだっているものだ。それと、悲しいかな、言葉がわからないほうが幸せだったと思うことが最後は増えてしまった。彼らに根強く残る反日感情は簡単にはぬぐえない。他の外国人と違って、私たちは外国人ではなくあくまで「日本人」なのだ。どれだけ若い世代に日本の娯楽文化が受け入れられたとしても、本当の相互理解にはつながっていない。むしろネット普及の悪影響で変なイメージを抱いている人もいる。世の中がグローバル化されても、やっぱりここは一番近くて遠い国なのかもしれないと、悲しくなった。たとえ世代が変わってもぬぐいきれない感情があるならば、わたしたち日本人は一体どうやって彼らに接していけばよいのだろう。そうやってなんとなくぼんやりつかみかけたところで、私の留学期間は終わりを迎えた。結局何もわからないまま、私は韓国を後にしたのだった。
☆参考になるウェブサイト
・ 慶北大学校HP(日本語)http://www.knu.ac.kr/english/eng/japan/index.html
・ 韓国観光公社 http://www.tour2korea.com/
・ 在日大韓民国大使館 http://www.mofat.go.kr/japan/
・ 日韓友好協会 http://www.kankoku-ryugaku.net/
・ 国際交流サービスセンター http://www.iisc.co.jp/
・ トラベルコちゃん http://www.tour.ne.jp/
・ Yahoo トラベル格安航空券 http://abroad.travel.yahoo.co.jp/air/
・ 韓国語ジャーナルHP http://www.alc.co.jp/kj/