弘前大学
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個人情報の保護に関する基本方針


平成16年4月2日
閣議決定


  政府は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。) 第7条第1項の規定に基づき、「個人情報の保護に関する基本方針」を策定する。
 基本方 針は、個人情報の保護に万全を期すため、個人情報の保護に関する施策の推進の基本的な方向及び国が講ずべき措置を定めるとともに、地方公共団体、個人情報取扱事業者等が講ずべき措置の方向性を示すものであり、法の全面施行(平成17年4月1日)に先立ち、政府として、官民の幅広い主体が、この基本方針に則して、個人情報の保護のための具体的な実践に取り組むことを要請するものである。

1 個人情報の保護に関する施策の推進に関する基本的な方向

(1) 個人情報保護法制定の背景
  近年、経済・社会の情報化の進展に伴い、官民を通じて、コンピュータやネットワークを利用して、大量の個人情報が処理されている。こうした個人情報の取扱いは、今後益々拡大していくものと予想されるが、個人情報は、その性質上いったん誤った取扱いをされると、個人に取り返しのつかない被害を及ぼすおそれがある。実際、事業者からの顧客情報等の大規模な流出や、個人情報の売買事件が多発し、社会問題化している。
それに伴い、国民のプライバシーに関する不安も高まっており、また、安全管理をはじめとする企業の個人情報保護の取組への要請も高まっている。
 国際的には、1970年代から、欧米諸国において、個人情報保護に関する法制の整備が進められ、1980年には、各国の規制の内容の調和を図る観点から、経済協力開発機構(OECD)理事会勧告において、「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドライン」が示された。以降、各国で急速に個人情報保護法制の整備が進められ、既にOECD加盟国の大多数が公的部門及び民間部門の双方を対象に個人情報保護法制を有するに至っている。企業活動等のグローバル化が進む中、我が国としても国際的に整合性を保った法制の整備と運用が求められている。 このような状況の下、個人情報の保護のあり方と報道の自由をはじめとする憲法上の諸要請との調和に関する様々な国民的な議論を経て、誰もが安心して高度情報通信社会の便益を享受するための制度的基盤として、官民を通じた個人情報保護の基本理念等を定めた基本法に相当する部分と民間事業者の遵守すべき義務等を定めた一般法に相当する部分から構成される法が平成15年5月に成立し、公布された。また、法の趣旨を踏まえ、公的部門に相応しい個人情報保護の規律を定めた行政機関の保有する個人情報 の保護に関する法律(平成15年法律第58号。以下「行政機関個人情報保護法」という。)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号。以下「独立行政法人等個人情報保護法」という。)等関連4法が法と併せて、成立し、公布された。

(2) 個人情報保護法の理念と制度の考え方
  法第3条は、個人情報が個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示している。関係の各主体においては、この基本理念を十分に踏まえるとともに、以下に掲げる制度の考え方を基に、個人情報の保護に取り組む必要がある。

@ 個人情報の保護と有用性への配慮
  法は、経済・社会の情報化の進展に伴い個人情報の利用が拡大している中で、法第3条の基本理念に則し、プライバシーの保護を含めた個人の権利利益を保護することを目的としており、他方、情報通信技術の活用による個人情報の多様な利用が、個人のニーズの事業への的確な反映や迅速なサービス等の提供を実現し、事業活動等の面でも、国民生活の面でも欠かせないものとなっていることに配慮しているところである。
  個人情報の保護と有用性に関するこの法の考え方は、実際の個人情報の取扱いにおいても、十分に踏まえる必要があり、個人情報の保護に万全を期すことこそが、個人情報の利用に関する社会の信頼を高め、ひいては、国民一人一人がその便益を享受できる健全な高度情報通信社会の実現を可能とするものである。

A 各事業者の自律的な取組と各主体の連携
  高度情報通信社会においては、業態業種を問わず、あらゆる分野において、情報通信技術を活用した大量かつ多様な個人情報が広く利用されるようになっている。このため、法は、個人情報を事業の用に供する者を広く対象として、個人情報の取扱いに関して共通する必要最小限のルールを定めるとともに、個人情報を取り扱う者において、それぞれの事業等の分野の実情に応じて、自律的に個人情報の保護に万全が期されることを期待している。また、こうした事業者の自律的な取組に関しては、国の行政機関等の支援が重要であり、法は、国が事業者等への支援、苦情処理のための措置を講ずべきことを定めるとともに、事業等を所管する省庁(以下「各省庁」という。)が、各事業等分野における個人情報の取扱いについて権限と責任を有する仕組みを採っているが、こうした複層的な個人情報の保護のための措置が整合的に実効性を上げていくためには、事業者、地方公共団体、国の行政機関等が相協力し、連携を確保していくことが重要である。

(3) 国際的な協調
  個人情報保護における国際的な取組としては、1980年のOECDプライバシーガイドラインにおいて、いわゆる8原則※が示されており、その原則が以降の国際的な取組や各国における取組の基本となっている。OECDプライバシーガイドラインにおいては、8原則の各国国内での実施に当たっての詳細は各国に委ねられているが、個人情報取扱事業者の義務に関する法第4章の規定は、我が国の実情に照らして8原則を具体化したものであり、今後、法及び基本方針に基づく取組により、その実効性が確保されることが重要である。
  また、法のルール及び基本方針に基づいて個人情報保護の取組を推進するに当たっては、OECDをはじめとして、アジア太平洋経済協力(APEC)、欧州連合(EU)等様々な場で進められている国際的な取組を踏まえ、国際的な協調を図っていくとともに、併せて我が国の法制度についても国際的な理解を求めていくことが重要である。

※ 8原則:「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドライン(Guidelines governing the Protection of Privacy and Transborder Flows of Personal Data)」における、@収集制限の原則(Collection Limitation Principle)、Aデータ内容の原則(Data Quality Principle)、B目的明確化の原則(Purpose Specification Principle)、C利用制限の原則(Use Limitation Principle)、D安全保護の原則(Security Safeguards Principle)、E公開の原則(Openness Principle)、F個人参加の 原則(Individual Participation Principle)、G責任の原則(Accountability
Principle)を指す。

2 国が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する事項

(1) 各行政機関の保有する個人情報の保護の推進
  国の行政機関が保有する個人情報の保護については、行政機関個人情報保護法を適切に運用するため、同法の運用の統一性、法適合性を確保する立場にある総務省は、@各行政機関が保有する個人情報の適切な管理に関する指針等を策定するとともに、A各行政機関及び国民に対して、パンフレットの配布や説明会の実施等を行い同法の周知を図り、B施行状況の概要の公表等国民に対する情報提供を行い制度の運用の透明性を確保する。
  また、各行政機関は、@総務省が策定する指針等を参考に、その保有する個人情報の取扱いの実情に則した個人情報の適切な管理に関する定め等の整備、A職員への教育研修、B適切な情報セキュリティシステムの整備、C管理体制の整備や国民に対する相談等窓口の設置、個人情報の適切な管理を図るために講じる措置等に関する情報の提供を行う。

(2) 政府全体としての制度の統一的な運用を図るための指針
@ 個別の事案が生じた場合の内閣府と各省庁の連携
  大規模な個人情報の漏えい等個別の事案が発生した場合、各省庁は、各事業等分野における個人情報の適正な取扱いを確保するため、必要な情報の収集に努めるととも に、当該個別の事案の被害の広がりや社会的な影響を踏まえ、迅速に法第4章の規定に基づく措置等の検討を行う。
  また、内閣府は、個人情報保護関係省庁連絡会議(別紙参考)も活用しつつ、情報提供等の各省庁の協力を得て、個別の事案について、対応事例の蓄積・整理を行うとともに、必要な情報を各省庁に提供し、個人情報の保護のための施策の充実に資するものとする。

A 共管の場合の主務大臣の連携のあり方
  個人情報取扱事業者が多角的に事業を行っている場合や、その取り扱う個人情報に雇用管理に関するものを含んでいる場合等において、特定の事案について複数の主務大臣が共管する場合が考えられる。このような事案については、事業者の負担軽減及び各省庁間における整合的な制度の運用の確保の観点から、共管となる各省庁間で、十分な連携を図り、権限を行使することを基本とする。
  なお、情報漏えい被害の拡大を防止するために緊急を要する場合等、権限を共同で行使することが、法制度の実効を損なうこととなる場合においては、各省庁は、個人情報の保護に関する法律施行令(平成15年政令第507号。以下「令」という。)第13条の規定により、それぞれ単独で、迅速、機動的な対応を行うものとする。

B 所管が明らかでない場合の主務大臣の指定
  複合的な事業の創出等により、個人情報取扱事業者が行う事業を所管する大臣等が直ちに明らかでない場合も生じ得るものと考えられるため、法第36条は、内閣総理大臣が、主務大臣を指定することができることとしている。この場合、内閣府は、各省庁の所掌事務に照らして、関係の深い省庁に照会の上特定し、又は、必要な場合には関係省庁連絡会議を活用することにより、指定を行うものとする。

C 各省庁における窓口の明確化・職員への教育研修
  各省庁は、他省庁、地方公共団体との連絡・調整を強化するとともに、苦情相談機関から情報を収集し、相談等に応ずるため、法に関する窓口を明確化する。当該窓口は、省庁内の事業等所管部局からの相談に応じるとともに、研修等によりこれらの職員への知識の普及を図る。

D 法の施行の状況の内閣府への報告と公表
  関係行政機関は、法第53条第1項の規定に基づき、毎年度の法の施行状況として、法第4章に基づく報告の徴収、助言等の規定の実施の状況のほか、事業等分野におけるガイドライン等の策定及び実施の状況、認定個人情報保護団体における苦情の処理等の取組状況等について内閣府に報告するものとする。 内閣府は、関係行政機関からの報告を取りまとめ、その概要を公表するとともに、国民生活審議会に報告するものとする。

(3) 分野ごとの個人情報の保護の推進に関する方針

@ 各省庁が所管する分野において講ずべき施策
  個人情報の保護については、これまでも、事業者の取り扱う個人情報の性質や利用方法等の実態を踏まえつつ、事業等分野ごとのガイドライン等に基づく自主的な取組が進められてきたところである。 このような自主的な取組は、法の施行後においても、法の定めるルールの遵守と相まって、個人情報保護の実効を上げる上で、引き続き期待されるところであり、尊重され、また、促進される必要がある。このため、各省庁は、法の個人情報の取扱いに関するルールが各分野に共通する必要最小限のものであること等を踏まえ、それぞれの事業等の分野の実情に応じたガイドライン等の策定・見直しを早急に検討するとともに、事業者団体等が主体的に行うガイドラインの策定等に対しても、情報の提供、助言等の支援を行うものとする。

A 特に適正な取扱いを確保すべき個別分野において講ずべき施策
  個人情報の性質や利用方法等から特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある分野については、各省庁において、個人情報を保護するための格別の措置を各分野(医療、金融・信用、情報通信等)ごとに早急に検討し、法の全面施行までに、一定の結論を得るものとする。

(4) 広報・啓発、情報提供等に関する方針
  法は、個人情報を利用する事業者に対して事業の分野、利用の目的を問わず幅広く個人情報の取扱いに関する義務を課すとともに、個人情報の主体である本人が、個人情報取扱事業者に対して自ら開示、訂正、利用停止の求めを行う等、事業者の個人情報の取扱いに関与していく仕組みを採っていることから、個人情報の保護の実効を期すためには、事業者及び国民に対して法制度の周知を徹底することがきわめて重要である。
  このため、内閣府及び各省庁は、事業者及び国民に十分な情報提供が行われるよう、インターネットの活用、ポスターの掲示、パンフレットの配布、説明会の実施等多様な媒体を用いて、広報・啓発に取り組むものとする。その際、個人情報の取扱いへの関心等について、世代間、事業分野間等に差異があることを踏まえ、媒体の選定等にも配慮してきめ細かに対応するものとする。

3 地方公共団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

(1) 地方公共団体の保有する個人情報の保護の推進
  地方公共団体の保有する個人情報の保護対策については、法第11条第1項の趣旨を踏まえ、個人情報の保護に関する条例の制定に早急に取り組む必要がある。また、既に条例を制定している団体にあっても所要の見直しを行うことが求められる。
  条例の制定又は見直しに当たっては、法及び行政機関個人情報保護法等の内容を踏まえるとともに、特に、いわゆるマニュアル処理に係る個人情報を保護対象とすること、行政機関個人情報保護法を参考としつつ、事務の特性に配慮した対象機関のあり方、自己情報の開示・訂正・利用停止等の本人関与の仕組みの充実、適切な苦情処理や不服申立て制度等の救済措置の整備、外部委託に係る個人情報の保護措置の整備、個人情報の漏えい等に対する罰則の検討、いわゆる「オンライン禁止規定」の見直し等の事項について留意することが求められる。

(2) 広報・啓発等住民・事業者等への支援
@ 広報・啓発等住民・事業者等への支援のあり方
  個人情報保護の推進において、住民・事業者に身近な行政を担う地方公共団体の役割は重要であり、法では、区域内の実情に応じて、住民・事業者への支援や苦情の処 理のあっせん等に対して必要な措置を講じるよう努めなければならないものとされている。
  特に、法の円滑な施行のため、各地方公共団体においては、個人情報保護の理念や具体的な仕組み等を住民等へ周知するための積極的な広報活動に取り組むとともに、区域内の事業者等の主体的な取組を促進するため、事業者からの相談等に適切に対応 することが求められる。
 また、個人情報の取扱いに係る事業者と本人の間のルールについては、国の立法と並行し、あるいは先行して、地方公共団体において検討され、一部では、既に条例の 制定等により、実施されているところである。こうした地方公共団体の取組は、区域の特性に応じた措置として今後とも重要であるが、その運用は、法及び各省庁のガイドライン等との整合性に配慮する必要がある。また、地方公共団体がその実情に応じて講じようとする措置については、事業者等の活動が、全国等の広域にわたることがあり得ることを考慮し、他の地方公共団体との連携に留意するとともに、特に、事業者等に新たな義務を課すこととなる場合には、当該地方公共団体の区域の特性と条例・規則の内容等を十分説明し、理解を求めていくことが重要である。

A 地方公共団体の部局間の相互連携
  地方公共団体は、法の施行に関し、自ら保有する個人情報の保護、その区域内の事業者等への支援、苦情の処理のあっせん等、さらには、法第51条及び令第11条の規定により主務大臣の権限を行使することまで、広範で多様な施策の実施が求められている。地方公共団体においては、こうした多様な施策は、個人情報の保護に関する条例の所管部局、住民からの苦情の相談を担う部局、各事業・事業者の振興・支援を担う部局等相当数の部局にまたがるものと見込まれるが、個人情報に関する住民の権利利益の保護の実効性を確保するためには、広範な施策が一体的・総合的に講じられるよう、関係部局が相互に十分な連携を図る必要がある。
  また、事業者からの相談や住民からの苦情等の相談の利便性の観点から、連携体制の確保に併せて、関係部局間の役割分担と窓口を明らかにして、これを公表すること 等により周知することが望まれる。

(3) 国・地方公共団体の連携のあり方
  個人情報取扱事業者に対する報告の徴収等の主務大臣の権限については、法第51条及び令第11条第1項の定めるところにより、地方公共団体がその事務を処理することとされるものがあるが、他方、地方公共団体の区域をまたがって事業者が活動している場合等においては、地方公共団体が十分に事業者の事業活動を把握することが難しいことも考えられる。このため、地方公共団体と各省庁は、基本方針に基づく各窓口を活用 し、十分な連携を図ることとし、地方公共団体は、各省庁に必要な情報の提供等の協力を求めるとともに、各省庁は、必要な場合には、令第11条第3項に基づき自ら権限を行使するものとする。 また、法制度についての広報・啓発、苦情の相談等の業務についても、住民や事業者等に混乱を生じさせないよう、国と地方公共団体が相協力することが重要であり、このため、内閣府、各省庁及び独立行政法人国民生活センターは、広報資料や苦情処理マニ ュアル等の情報の提供を図るとともに、各窓口の活用により個別の相談事例から得られる知見を蓄積し、その共有を図るものとする。

4 独立行政法人等が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的 な事項
  独立行政法人等が保有する個人情報の保護については、独立行政法人等個人情報保護法を適切に運用するため、同法の運用の統一性、法適合性を確保する立場にある総務省は、@独立行政法人等が保有する個人情報の適切な管理に関する指針等を策定するとと もに、A各行政機関、独立行政法人等及び国民に対して、パンフレットの配布や説明会の実施等を行い同法の周知を図り、B施行状況の概要の公表等国民に対する情報提供を行い制度の運用の透明性を確保する。 また、各行政機関は、所管する独立行政法人等に対して、その業務運営における自主性に十分配慮しながら、必要な指導、助言、監督を行う。 独立行政法人等は、@総務省が策定する指針等を参考に、その保有する個人情報の取扱いの実情に則した個人情報の適切な管理に関する定め等の整備、A職員への教育研修、 B適切な情報セキュリティシステムの整備、C管理体制の整備や国民に対する相談等窓口の設置、個人情報の適切な管理を図るために講じる措置等に関する情報の提供を行う。

5 地方独立行政法人が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本 的な事項
  地方独立行政法人における個人情報の保護について、地方公共団体は、法第11条第2項において、必要な措置をとることが求められている。これを踏まえ、各地方公共団体は、その設立に係る地方独立行政法人の性格及び業務内容に応じ、各団体が制定する個人情報保護条例において所要の規定を整備する等、適切な個人情報の保護措置が講じられるように取り組むことが求められる。

6 個人情報取扱事業者等が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項
(1) 個人情報取扱事業者に関する事項
  個人情報取扱事業者は、法の規定に従うほか、2の(3)の@の各省庁のガイドライン等に則し、個人情報の保護について主体的に取り組むことが期待されているところであ り、事業者は、法の全面施行に向けて、体制の整備等に積極的に取り組んでいくことが求められている。各省庁等におけるガイドライン等の検討及び各事業者の取組に当たっ ては、特に以下の点が重要であると考えられる。
@ 事業者が行う措置の対外的明確化
 事業者の個人情報保護に関する考え方や方針に関する宣言(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメント等)の策定・公表により、個人情報を目的 外に利用しないことや苦情処理に適切に取り組むこと等を宣言するとともに、事業者が関係法令等を遵守し、利用目的の通知・公表、開示等の個人情報の取扱いに関する 諸手続について、あらかじめ、対外的に分かりやすく説明することが、事業活動に対する社会の信頼を確保するために重要である。 また、事業者において、個人情報の漏えい等の事案が発生した場合は、二次被害の 防止、類似事案の発生回避等の観点から、可能な限り事実関係等を公表することが重要である。

A 責任体制の確保
  事業運営において個人情報の保護を適切に位置づける観点から、外部からの不正アクセスの防御対策のほか、個人情報保護管理者の設置、内部関係者のアクセス管理や 持ち出し防止策等、個人情報の安全管理について、事業者の内部における責任体制を確保するための仕組みを整備することが重要である。 また、個人情報の取扱いを外部に委託することとなる際には、委託契約の中で、個人情報の流出防止をはじめとする保護のための措置が委託先において確保されるよう、 委託元と委託先のそれぞれの責任等を明確に定めることにより、再委託される場合も含めて実効的な監督体制を確保することが重要である。

B 従業者の啓発
  事業者において、個人情報の漏えい等の防止等、その取り扱う個人情報の適切な保護が確保されるためには、教育研修の実施等を通じて、個人情報を実際に業務で取り扱うこととなる従業者の啓発を図ることにより、従業者の個人情報保護意識を徹底することが重要である。

(2) 認定個人情報保護団体に関する事項
@ 各省庁における認定の促進
  認定個人情報保護団体は、苦情処理において、個人情報取扱事業者自身による取組 を補完し、問題の自主的、実際的な解決を図るとともに、各事業等分野におけるガイ ドライン等の策定等を通じて事業者の個人情報保護の取組を支援する等、民間部門に おける主体的な取組に、きわめて重要な役割が期待されており、その仕組みが十分に 活用されることが必要である。
  このため、各省庁においては、事業者団体等に対し情報の提供、助言等の支援をするとともに、事業者団体等の求めに応じて相談に応じることにより、認定個人情報保 護団体の認定を促進するものとする。

A ガイドライン(個人情報保護指針)等の策定・見直し
  個人情報の保護に関する事業分野別の取組においては、従来から、各省庁の策定す るガイドラインと併せて、事業者団体等が策定するガイドラインが、各事業者の取組 を促進する上で、重要な役割を果たしてきている。このため、事業者団体等において は、引き続き、事業分野の実情に応じ、ガイドライン(個人情報保護指針)等の策定・ 見直しとその公表を行うとともに、事業者に対する必要な指導等に努めていくことが 望まれる。その際、事業者団体等のニーズに応じて、各省庁は、2の(3)の@により必 要な支援を行うものとする。

7 個人情報の取扱いに関する苦情の円滑な処理に関する事項
  個人情報の利用・提供あるいは開示・不開示に関する本人の不平や不満は、訴訟等によるのではなく、事案の性質により、迅速性・経済性等の観点から、むしろ苦情処理の制度によって解決することが適当なものが多いと考えられる。法は、苦情処理による国民の権利利益の保護の実効を期すため、個人情報取扱事業者自身の取組により苦情を解決することを基本としつつ、認定個人情報保護団体、地方公共団体等が苦情の処理に関わる複層的な仕組みを採っている。この仕組みが円滑に機能するためには、これらの関係機関がそれぞれの役割分担に応じて適切に取り組むとともに、緊密な連携を確保することが必要である。
(1) 事業者自身による取組のあり方
  法は、苦情処理について、まず、第一に個人情報取扱事業者の責任において適切かつ迅速な処理に努めるべきことを明らかにしている。こうした責務を全うするため、事業 者には、必要な体制整備として苦情受付窓口の設置、苦情処理手順の策定等が求められる。

(2) 認定個人情報保護団体の取組のあり方
  認定個人情報保護団体の苦情処理は、各事業者が行う取組を補完し、国民の利益を効率的・効果的に実現する重要な役割が期待される。 10 このため、認定個人情報保護団体は、個人情報の主体である本人からの様々な苦情に簡易・迅速に対応し、公正な第三者としての立場から国民の期待に応えられるよう、人材の養成・確保を含む体制を整備することが求められる。

(3) 地方公共団体における取組のあり方
  地方公共団体の担う苦情の処理のあっせん等は、当事者間で問題が解決されない場合等において、事業分野を問わない苦情処理の仕組みとして、苦情の処理のあっせん、助言、指導、情報提供等の役割が求められている。 地方公共団体が苦情の処理のあっせん等に取り組むに当たっては、広く住民一般に分かりやすく、なじみやすい対応が求められる。その際、個人情報に関する苦情の相当部 分は、事業者が消費者の個人情報を利用した結果として起こる消費生活上の苦情である と考えられること、相談者の立場からは、消費生活に関する苦情から個人情報の問題だ けを取り出して相談することは容易でなくまた不便であることから、既存の消費生活セ ンターや消費者相談窓口等を個人情報に関する苦情の窓口とし、これを軸に各事業・事 業者の振興・支援を担う部局等の関係部局が実効のある連携を確保する仕組みが、相談 者の利便性等の観点から望まれる。 なお、地方公共団体において、条例等に基づき別の苦情窓口を定めている場合等、直 ちに上記の仕組みにより難い場合においては、特に、窓口と関係部局の役割分担を明確 化し、周知を図るとともに、消費生活センター等に寄せられる苦情の移送等の仕組みを 十分に確保する必要がある。

(4) 国民生活センター及び各省庁における取組
@ 国民生活センターの取組
  各地方公共団体や認定個人情報保護団体に寄せられる苦情が住民・事業者の混乱を 招かず円滑に処理されるためには、消費生活センター等の相談員の個人情報保護に関 する専門知識の習得を早急に進めるとともに、各相談機関における知見の蓄積とその 活用が重要である。 このため、国民生活センターは、自ら個人情報に関する苦情相談に取り組むほか、 消費生活センター等の各種相談機関と連携を図りつつ、研修等の実施による専門知識 を有する相談員の育成、苦情処理に関するマニュアルの作成・配布等により、窓口対 応の強化を支援する。また、こうした取組に当たっては、必要に応じて、認定個人情 報保護団体等の協力を得ながら実施するとともに、認定個人情報保護団体へのマニュ アルの配布やその職員の研修等への参加を図るものとする。 また、国民生活センターは、個人情報に関する苦情相談の事例を集約・分析し、対応事例集等の資料を作成すること等により、各種相談機関における個別の相談事例か ら得られる知見を蓄積し、その共有を図るものとする。

A 各省庁における取組
  内閣府及び各省庁においては、地方公共団体、国民生活センター、認定個人情報保護団体等と連携して所管分野における個人情報の適正な取扱いを確保する観点から、 2の(2)のCによる窓口において、苦情相談機関等から悪質な事業者に関する情報を受け、その収集を行うとともに、必要に応じて、各省庁の対応等について情報を提供す るものとする。 また、内閣府においては、各省庁及び地方公共団体の苦情相談機関等の窓口等に関する情報を収集・整理し、インターネットの活用等により提供する。

8 その他個人情報の保護に関する施策の推進に関する重要事項
(1) 情報収集・調査研究の推進
  個人情報の収集、利用等その取扱いの態様は、情報通信技術の発展、新分野における事業の創出等により、大きな変化が有り得るものであり、基本方針とこれに基づく措置 についてもこうした変化や国際的な個人情報保護制度の動向等に応じて見直すことが必要である。このため、内閣府及び国民生活センターは、各省庁との連携の下、新技術 や個人情報の利用の動向、諸外国における制度の運用の動向等に関する情報収集、調査研究を行うものとする。

(2) 国民生活審議会の役割
  内閣府は、経済・社会事情の変化に応じた基本方針の見直しに当たり、国民生活審議会の意見を聴くほか、法の施行状況について、法の全面施行後3年を目途として検討を 加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとし、このため、2の(2)のDに基づき、法の施行状況について国民生活審議会に報告を行うとともに、同審議会は、法の 施行状況のフォローアップを行う。

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