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平成24年度学位記授与式(平成25年3月22日)

平成24年度学位記授与式(平成25年3月22日)

長く厳しかった冬もようやく去ったとはいえ、いまだ寒さの残る、この春の日に、ここ弘前大学第一体育館において、平成二十四年度の学位記授与式を挙行するにあたって、告辞を述べさせていただくことは私にとって、大きな喜びとするところです。
まずもって、本日、卒業の時を迎えられた皆さんに心よりお祝いを申し上げます。皆さん、卒業おめでとうございます。また、本日ご多忙の中、この学位記授与式にご臨席いただいたご来賓の皆様には、心よりお礼を申し上げます。大変ありがとうございます。
今年は、弘前市民会館が改修中のため、学位記授与式をこの体育館で実施することになりました。オーケストラの演奏もなく、卒業生のご家族にも参列いただくことができないなど、例年の式典に比べて物足りなさを感じている人も居られるかもしれません。しかし、大学としては、さまざまな可能性を真剣に考慮した上での、最大限の対応であることをご理解いただきたいと思います。
さて、今、卒業生の皆さんは、どのような思いで、弘前大学での学生生活の日々を振り返っているでしょうか。皆さんの学生生活は、それぞれに充実したものだったと思いますが、同時に幾ばくかの後悔を感じている人も居られるかもしれません。しかし、皆さんは、この弘前大学での学生生活を通して、十分に自らを育み成長してきたことは間違いありません。是非そのことに自信をもって、これからの社会人としての活動に臨んで欲しいと思います。今後皆さんが我が国のリーダーとして力強く活躍されることをもって、弘前大学がその使命を果たすことにもなります。
そこで重要なのは、大学の卒業をもって学問が終わるわけではなく、今後も皆さんの前には大いなる学問の世界が広がっているということであります。当然のことながら、今後の学問の在り方はこれまでのものとは違っているかもしれませんが、これまで学んできたことを生かして、引き続き学問に勤しむ覚悟を、今日ここで新たにしていただくよう切に願っています。
最近の学術上の出来事として、昨年十月に、京都大学 山中伸弥 教授のIPS細胞研究に対してノーベル医学生理学賞が授与されたことは、大変大きなことでした。それは、山中教授ご本人はもちろん、我が国全体にとっての栄誉でもあることに間違いありません。これを機に、再生医療に対する期待も大いに高まりました。しかし、「私はまだ誰も助けていない」という山中教授ご自身の言葉に、学問に徹する人としての誠意を見ることができると私は思います。
例えば、かつて蒸気機関の導入が世界の産業を大きく変えたように、一つの発明・発見が直ちに世の中を劇的に変えることは、発達した学問の成果を享受している今日の社会では、ほとんど期待できないと言って良いと思います。また、学問の世俗的成果を安易に追求することには、しばしば危険が伴う可能性のあることも、私たちは忘れてはなりません。世界で最も権威あるとみなされるノーベル賞でさえ、顕彰の対象となった業績が後に完全に否定されたものがあるのも事実です。したがって、学問に携わるすべての人々、そして皆さん自身も、学問の成果に対しては、科学的かつ客観的な姿勢で臨み、自らの学問成果の本質を正しく社会に発信していくこと、そして他領域の学問の成果を冷徹な眼で見ることが必要だと思います。皆さんの今後のお仕事の一コマ一コマがすべて学問の機会であること、しかも、その成果が正しく活用されるべきであることを銘記して、これまでにも増して努力して下さるよう願っています。
皆さんが学生生活を送ったこの弘前市は、地方の小都市ではありますが、歴史と文化の香りにあふれ、市民の方々は弘前大学生を大切にして下さっています。また、市長さんをはじめ、多くの方々から弘前大学生の勉学や生活に対して大きなご支援をいただいてきました。皆さんは、この弘前の地で勉学できたことに対する感謝の念を忘れることなく、そして弘前大学で学んだことの誇りを胸に、今後ますます活躍されるよう願っています。
最後になりますが、なにより、卒業生の皆さんの今後のご健康とご多幸を祈念して、告辞といたします。

平成25年 3月22日
弘前大学長 佐藤 敬

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