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平成29年度学位記授与式告辞(平成30年3月23日)

 津軽の地にもようやく穏やかな春が訪れる中、本日、ここ弘前市民会館において平成二九年度の学位記授与式を挙行するにあたって、卒業生の皆さんに、一言、お祝いと激励を申し上げたいと思います。先ずもって、本日学位を取得された皆さんに心よりお祝いを申し上げます。皆さん、誠におめでとうございます。
 皆さんはそれぞれの専門に沿ってしっかりと学問を修めたことが、本日の学位授与に至ったのは間違いありません。皆さんはそれぞれの専門の学問をあるレベルまで修めたのではありますが、もちろん、学問はこれで終わった訳ではありません。加えて、その学問を活かすため、また更に発展させるために、専門外のことを含め、いろいろなことを学ぶのが学問の本質です。
中国南宋の詩人陸游が息子の子遹に与えた詩に、「詩を学ばんと欲すれば、工夫は詩の外にあり」と詠んでいます。ここで言う「工夫」とは、わたしたちの言葉としては、努力と言い換えるべきだと思いますが、繰り返します。「詩を学ばんと欲すれば、工夫は詩の外にあり」です。この言葉の意味するところは詩の世界にとどまるものではなく、あらゆる学問に当てはまることに間違いありません。弘前大学において皆さんは、専門の学問ばかりではなく、教養教育で専門以外のことを学んだのは言うまでもありません。そして、学生生活そのものの中にも多くの学びの機会があったはずです。その全てを含めて、本日学位を取得したという認識を、お一人おひとりが強く持っていただきたいと思います。そして、ご家族の支援の下、弘前大学の学友・教職員、地域の人々と共に学び、弘前大学の学位を得たことへの誇りと感謝を忘れることなく、引き続き存分に活躍してくださるよう願っています。
 学問は一個人、一世代の力で完成されるものでないのも事実です。私たちは決して到達することがないかもしれない学問の成就を目指して、自らの成果を同胞や後世へと伝えていく義務があります。こう考える時、学問はいつまでも続くものだと言わざるを得ません。もちろん、今後の学びの中で、これまでのような大学での講義や演習・実習の機会を持つことは少ないかもしれません。しかし、皆さんの人生はいまだその中間点にも達していないのであり、これからの学びの期間の方が長いのです。今後の人生のあらゆる場面を、自らを育む機会であると捉え、学び続ける姿勢を忘れないでいただきたいと願っています。将来例え不本意な仕事があったとしても、それに取り組んだ成果としての学びは、楽しみながら行った仕事より大きいことが多いのではないでしょうか。例え一時的な挫折があったとしても、それを乗り越え、それを糧にして、更なる成長を遂げられるよう期待して止みません。
 特に高等教育の過程を修めた皆さんに対しては、社会からの期待は大きなものがあります。そのためにも、皆さん自身の学問を今後の社会において広げ、高め、深めていただかなければなりません。本日の学位記授与式を、皆さん自身と社会の今後の発展への第一歩にしていただきたいと願っています。その意味では、今日という日を、卒業を祝う日であると同時に、これまでの道のりをしっかりと振り返り、今後の日々を想う機会にしていただかなければなりません。
弘前大学生が今日の日を迎えるにあたって、お世話になったご家族をはじめ、大学関係者、地域の方々、そしてすべての方々に私からもお礼を申し上げたいと思います。これまでのご支援、誠にありがとうございました。
 最後に、もう一度繰り返しますが、皆さんには、今後の我が国社会のリーダーとしてさまざまな役割を果たしていただくことが必要です。そのことを目指していただくために、しかしながら、あらゆる価値観を超えて、今後の皆さんのご健勝とご多幸を心からお祈りします。そして本当の結びとして、これまで皆さんが成し遂げられたことに対する敬意と、そして今後の大きな可能性に対する期待を込めて、もう一度お祝いを申し上げます。皆さん、ご卒業誠におめでとう。

平成30年3月23日

弘前大学長  佐藤 敬

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