○国立大学法人弘前大学知的財産等の管理・活用の推進に関する要項
改正
平成21年9月24日
平成27年9月15日
平成30年3月16日
令和4年3月17日
第1 目的
この要項は、国立大学法人弘前大学知的財産取扱規程(以下「取扱規程」という。)第17条第1項に基づき、国立大学法人弘前大学(以下「本学」という。)の職員等が創造した知的財産等の管理及び活用の推進を図ることを目的とする。
第2 出願等
1
研究・イノベーション推進機構の長(以下「機構長」という。)は、特許性等権利要件及び市場性等を評価するとともに、技術移転を推進する観点から、基本特許及びその周辺主要特許を網羅する、戦略的出願を行うものとする。
2
特許出願は、外部公表(学会、予稿集、論文等)前に終了することを原則とするため、職員等は、発明の発生時、直ちに知財本部へ発明相談を行い、権利化・活用戦略の早期構築に積極的に協力しなければならない。
3
外国出願は、我が国の国際競争力の低下を回避すること及び本学の研究成果を広く社会に還元することを目的とし、原則、知財活用支援事業を活用して推進するものとする。
特に医学における医療方法の出願は、米国では特許が許されているが、日本及び欧州等では許されていないことから、先端的な医療方法については米国での特許出願を中心に戦略的に特許出願を行うものとする。
第3 ライセンシーの確保
機構長は、出願直後から、ライセンシーを探す業務に専念する。
その方法は、次の各号に掲げる方法を基本に、知的財産権の内容に応じて、開示可能な内容を慎重に確認し、技術開示を行う。
(1)
発明等をした職員等から関連技術を実施している企業の情報を得て、その企業の研究部門、技術部門及び知財部門のいずれかの実施特許に関し権限のある部門に技術紹介を行う。
(2)
本学の産学官連携活動のネットワークを活用し、情報収集を行うとともに、技術説明会及び展示会等を通して積極的に技術紹介を行う。
(3)
特許流通データベース等に登録し、インターネット等で技術公開をする。
第4 技術移転事業者等との関係
1
機構長は、評価及びライセンシーの探索等、技術移転推進に関し、必要に応じ、承認・認定TLOとの連携を図るものとする。
2
機構長は、実施許諾又は譲渡を行う場合に、技術移転事業者等を介することができるものとする。
また、本学の知的財産権を技術移転する目的のため、技術移転事業者等に対し知的財産権の再実施許諾権付独占的通常実施権等の許諾又は譲渡を行うことができる。
3
機構長は、技術移転事業者等に対して実施許諾又は譲渡を行った知的財産権について、その技術移転事業者等に本学以外の者に実施許諾又は譲渡を行わせる場合には、この要項に規定する取扱いに準ずる取扱いがなされるようにするものとする。
第5 発明等の評価及び出願
1
取扱規程第9条第1項に規定する、本学への権利等の承継基準は、次の各号に掲げる事項を全て満たすものとする。
(1)
職務発明等であること。
(2)
先行技術調査の結果、特許法第29条第1項に規定する新規性があること。
(3)
先行技術調査の結果、特許法第29条第2項に規定する進歩性があること。
(4)
市場性があること又は将来一定の市場性が予想されること。
(5)
運営方針に反しないこと。
2
取扱規程第4条に規定する知的財産審査会(以下「知財審査会」という。)は、次の各号に掲げる事項について検討を行い、当該発明の今後の出願及び活用に関する方針を確認したうえで、承継の決定を行うもとする。
(1)
権利としての技術支配力
(2)
基本特許及び周辺特許等との関連性
(3)
優先権出願の必要性
(4)
外国出願の予定及び出願国等
(5)
技術移転方針
(6)
前記各号を踏まえた出願時の全体的評価について
第6 外国出願
機構長は、第5第2項の検討において、別に定めるところにより、知財審査会において、外国出願の要否及び出願国を決定する。
また、外国出願で指定国について再検討の必要がある場合は、必要に応じ、再度知財審査会を開催し、決定するものとする。
第7 出願後の中間評価及び特許後の評価
1
機構長は、出願から2年6月以内に実施許諾がされていない出願について、再度、市場性等の評価を行い、評価が良好と判断した場合は、審査請求を実施する。
また、権利化を断念する際には、関連特許等の方針も含めて知財審査会において判断するものとする。
2
知財本部長は、知財審査会において、特許等を取得した後、次の各号に掲げる期間を経過する前に、特許等の権利維持の継続の要否について決定するものとする。
(1)
特許取得後 2年6月
(2)
特許取得後 5年6月
(3)
特許取得後 8年6月
(4)
特許取得後 10年6月
(5)
特許取得後 12年6月
(6)
適時
第8 技術及びノウハウの守秘義務
職員等は、技術及びノウハウの流出防止に努めるとともに、研究者間等での会合において、お互いの研究を開示して自由な議論を行うときは、その発言内容等に関して、非公開かつ守秘義務があることを確認したうえで、議事録等を作成、確認し、保存するものとする。
第9 特許作成に関する職員等の協力義務
機構長は、本学が承継した発明等について速やかに出願書類等の準備を行い、戦略的な広い権利範囲の特許が取得できるよう考慮するものとする。
その際、当該発明等に関係する職員等は、研究成果を知的財産権として的確に保護する観点から、多くの実施例及び必要な図面等を準備し、出願明細書作成業務に協力しなければならない。
第10 中間処理における職員等の協力義務
1
発明等に関係する職員等は、機構長が行った出願に関し、その審査段階において、特許庁へ拒絶理由等に対する反論及び意見の具申等が必要な場合には、優先的にその業務に協力しなければならない。
2
機構長は、前項の業務が当該職員等の本来の業務を大きく阻害することのないよう、配慮又は援助しなければならない。
第11 実施許諾先への技術協力
機構長は、特許の出願後又は権利化後、実施許諾をした技術に関し問題が発生した場合は、最大限の努力をもって、その問題解決に努めなければならない。
その際、職員等は、その問題解決に協力しなければならない。
第12 審判、訴訟事件等での職員等の協力義務
職員等は、特許の権利化後、審判及び訴訟事件等が発生した場合には、その問題解決に協力しなければならない。
この場合においては、第10の規定を準用する。
第13 共同研究、受託研究、受託事業及び学術指導時の発明等の取扱い
1
共同研究、受託研究、受託事業及び学術指導から生じた発明等の取扱いに関しては、次の各号に定めるとおりとする。
ただし、その運用について、機構長は状況に応じ柔軟に対応するものとする。
(1)
共同研究の場合、原則として、知的財産権は共有とし、権利の持ち分の比率は1:1とするが、発明者の認定において、その発明への貢献度が明らかにどちらかが高い場合は、共同研究者間でその事実を認定して比率を決めるものとする。
(2)
受託研究、受託事業及び学術指導の場合、研究開発は本学独自で行うことから、原則として、100%本学の帰属とするが、委託先の寄与が認められる特別な事情がある場合には、その妥当性を両者で認識し比率を変更することができるものとする。
2
共同研究、受託研究、受託事業及び学術指導においては、本学及び民間企業等の権利の持分の比率を確定する必要があることから、研究打合せ時には議事録等の会議の記録を作成し、お互いに確認することとする。
また、実験研究時においても研究記録(研究ノート)を作成し、発明等の経過がわかるように努めるものとする。
第14 寄附金による発明等の取扱い
職員等が寄附金を使用した研究から生じた発明等については、職務発明として本学がその権利等を承継するものとする。
ただし、機構長が認めたときは、これを所有しないことができる。
第15 共同研究成果の実施について
本学及び民間機関等は、共同研究の契約を締結する場合には、次の各号に掲げるすべての項目又はどちらか一方を選択し、その趣旨に沿う条文を共同研究契約書に記載するものとする。
(1)
民間機関等は、共同研究の過程で発生した発明等に関し、本学が第三者に実施許諾をすることを妨げない。
(2)
民間機関等は、本学が発明等を実施しないことから、本学に対し、その実施しないことによる対価を支払うものとする。
第16 受託研究成果の実施について
本学及び民間機関等は、受託研究の契約を締結する場合には、次の各号に掲げる項目についてその趣旨に沿う条文を受託研究契約書に記載するものとする。
(1)
研究成果である発明等の権利は、本学に帰属する。
ただし、研究の過程において委託者の寄与がある場合は、両者に帰属し、その権利の持分については別途協議して決定する。
(2)
発明等の権利が本学に帰属する場合には、委託者は優先的に専用実施権又は通常実施権を選択することができる。
(3)
発明等の権利が両者に帰属する場合には、委託者は、第15の規定に従うものとする。
第16の2 受託事業成果の実施について
本学及び民間機関等は、受託事業の契約を締結する場合には、次に掲げる項目についてその旨を受託事業契約書に規定するものとする。
(1)
研究成果である発明等の権利は、本学に帰属する。
ただし、研究の過程において委託者の寄与がある場合は、両者に帰属し、その権利の持分については別途協議して決定する。
(2)
発明等の権利が本学に帰属する場合には、委託者は優先的に専用実施権又は通常実施権を選択することができる。
(3)
発明等の権利が両者に帰属する場合には、委託者は、第15の規定に従うものとする。
第16の3 学術指導成果の実施について
本学及び民間機関等は、学術指導の契約を締結する場合には、次に掲げる項目についてその旨を学術指導契約書又は申込書に規定又は記載するものとする。
(1)
研究成果である発明等の権利は、本学に帰属する。
ただし、研究の過程において委託者の寄与がある場合は、両者に帰属し、その権利の持分については別途協議して決定する。
(2)
発明等の権利が本学に帰属する場合には、委託者は優先的に専用実施権又は通常実施権を選択することができる。
(3)
発明等の権利が両者に帰属する場合には、委託者は、第15の規定に従うものとする。
第17 実施権の設定
1
機構長は、知財審査会の議を経て、本学の知的財産権(共有のものについては、本学の持ち分が決定された後の知的財産権とする。)に関して、民間機関等がその実施を申出たときは、当該民間機関等に対し、原則有償により、通常実施権の設定をすることができるものとする。また、その申出の内容に応じて独占的又は一部独占的な実施許諾を行うことが合理的であると認める場合は、独占的又は一部独占的通常実施権及び専用実施権の設定を行うことができるものとする。
ただし、別段の取り決めがある場合で、公共の利益のために必要がある場合には、独占的又は一部独占的な通常実施権の実施許諾を受ける者に対し本学が他の第三者に実施許諾が可能とすることを条件とする。
2
機構長は、前項の実施権を設定したときは、当該民間機関等に対し、一定の一時金(実施許諾料)の支払いを求めることができるものとする。
3
機構長が第1項による設定を行ったことにより、民間機関等に売り上げが生じたときは、当該民間機関等に対し、当該通常実施権又は専用実施権に応じて、一定の比率による実施料の支払いを求めることができるものとする。
第18 実施権設定後の新たな発明等の取扱い
実施権を設定された民間機関等において、実施権に係わる発明等を利用して新たな発明等が生じた場合、その発明等の完成に職員等の寄与があった場合には、当該発明等は、本学と民間機関等との共同発明として取扱うものとする。
この場合の取扱いについては、第17の規定を準用するものとする。
第19 オプション契約
1
オプション契約は、民間機関等の都合により、本学の発明等について、優先的に実施許諾を受けることを条件に、一定の検討期間を有する契約とする。
2
前項の契約については、次の各号に掲げることを要件とする。
(1)
発明等における出願等の費用の負担及び一定の一時金を支払うこと。
(2)
実施許諾を決定した以後は、第17の規定に従うこと。
第20 実施権者の義務
機構長は、専用実施権又は通常実施権を認めた民間機関等に対し、その認められた発明等に関して、当該民間機関等が、一定の期間、その実施をしなかった場合は、次の各号に掲げる項目のいずれかを選択するように求めることができる。
ただし、実施をしないことについて、相当の理由が認められる場合は、この限りでない。
(1)
本学に、実施料に相当する不実施料を支払う。
(2)
専用実施権又は通常実施権を本学に一定の対価と共に返却する。
第21 専用実施権者の義務
機構長は、専用実施権者に対し、発明等の権利化に必要な出願等の費用の支払を要求することができるものとする。
ただし、相当の理由が認められる場合は、この限りでない。
第22 実施権における取扱
専用実施権及び通常実施権等での実施権における取扱いは、特許法に準ずるものとする。
第23 中小企業等における特例
中小企業等における実施許諾に関しては、原則として第15から第22までの規定を適用させる。
ただし、その適用に関しては、当該中小企業等の状況に応じて、一時金及び実施料等に関して、機構長は柔軟な対応をすることができるものとする。
第24 本学発ベンチャーにおける発明等の取扱
本学発ベンチャー企業に関係する職員等が行った発明等が、当該企業の技術に関与した場合は、原則として、本学と当該企業との共同発明として取扱うものとする。
ただし、共同発明とはならない明確な理由が認められる場合は、この限りでない。
第25 外国企業からの実施許諾申込
外国の企業から実施許諾の申込みがあった場合の取扱いについては、文部科学省及び経済産業省等の方針を確認したうえで、機構長が対応するものとする。
第26 知的財産の学術目的の利用等
1
機構長は、本学が許諾権利を有する知的財産について非営利目的(学術目的)で許諾する場合は、知財審査会の議を経て、原則無償又は最大限実費での利用を認めるものとする。
ただし、専用実施権が設定されている場合はこの限りではない。
2
ライフサイエンス分野におけるリサーチツール特許については、特にその使用の円滑化に配慮するものとする。
第27 譲渡
機構長は、本学が所有する知的財産権について、知財審査会において技術移転を推進するために合理的と認める場合には原則有償により、他への譲渡を行うことができるものとする。
第28 意匠、回路配置、プログラム等、植物新品種及び商標の届出
職員等は、創作した意匠、回路配置、プログラム等、育成した植物新品種及び案出した商標が次の各号のいずれかに該当する場合は、発明等届出書により、速やかに機構長に届出なければならない。
(1)
有償又は無償を問わず、職員等以外に利用させる場合
(2)
財産的価値が顕在化した場合
(3)
侵害の疑義が生じた場合
(4)
機構長から届出を求められた場合
(5)
その他必要と認める場合
第29 意匠、回路配置、プログラム等、植物新品種及び商標の管理
1
機構長は、本学に帰属が決定した意匠、回路配置、プログラム等、植物新品種、及び商標については、適正に管理するとともに、必要があると認めるときは、職員等に適正に管理させなければならない。
2
機構長は、本学に帰属が決定した意匠、回路配置、プログラム等、植物新品種及び商標について、意匠法、半導体の集積回路の回路配置に関する法律、著作権法等、種苗法及び商標法に基づく登録が必要であると認めたときは、出願等を行うものとする。
第30 著作者人格権の不行使
本学に帰属が決定したプログラム等の創作者は、著作権法第17条に規定する著作者人格権又は外国における同権利に相当する権利を行使しないものとする。
第31 ノウハウの届出
職員等は、ノウハウを案出したときは、それらを厳重に秘匿及び管理するとともに、案出したノウハウが次の各号のいずれかに該当する場合は、発明等届出書により、速やかに機構長に届出なければならない。
(1)
有償又は無償を問わず、職員等以外に利用させる場合
(2)
財産的価値が顕在化した場合
(3)
ノウハウに対し、侵害の疑義が生じた場合
(4)
機構長から届出を求められた場合
(5)
その他必要と認める場合
第32 ノウハウの指定及び管理
1
機構長は、本学に帰属が決定したノウハウについては、本学において管理すべきノウハウとして指定するとともに、その旨をノウハウを案出した職員等(以下「案出者」という。)に通知しなければならない。
2
機構長は、前項の規定により指定されたノウハウ(以下「指定ノウ ハウ」という。)を、その案出者及び指定ノウハウを知り得た者に厳重に秘匿及び管理させなければならない。
3
前2項の規定は、指定ノウハウの案出者及び指定ノウハウを知り得た職員等が本学を退職した後も適用するものとする。
第33 ノウハウの秘匿
1
指定ノウハウの案出者は、当該ノウハウを厳重に秘匿し、管理するとともに、次の各号に掲げる場合を除き、開示又は漏洩してはならない。
(1)
本学との契約により、守秘義務が課せられている者に開示する場合
(2)
技術指導を行うために、機構長の承認を得て、職員等に開示する場合
(3)
機構長が、指定ノウハウの指定を取りやめた場合
2
指定ノウハウを知り得た職員等は、その指定ノウハウについて、厳重に秘匿及び管理するとともに、次の各号に掲げる場合を除き、開示又は漏洩してはならない。
(1)
本学との契約により、守秘義務が課せられている者に開示する場合
(2)
機構長が、指定ノウハウの指定を取りやめた場合
第34 学生等の発明等の取扱
本学との雇用関係にない学生等が行った発明等の取扱いについては、その発明等の成立の状況を勘案して、学生等及び当該発明等の関係者と対応を検討のうえ機構長が、その処置を決めるものとする。
第35 権利等の管理等
1
権利等の管理は、成果有体物の管理及び別に定めのあるものを除き、機構長が適正に行うものとする。
2
機構長は、その管理状況について年度ごと、また、求めに応じて学長に報告するものとする。
3
機構長は、知的財産管理に関する統計資料について、必要に応じて学内及び学外に公表するものとする。
第36 その他
この要項に定めるもののほか、知的財産等の管理・活用の推進に関し必要な事項は、機構長が別に定める。
附 記
この要項は、平成16年10月27日から実施する。
附 則(平成21年9月24日)
この要項は、平成21年10月1日から実施する。
附 則(平成27年9月15日)
この要項は、平成27年10月1日から実施する。
附 則(平成30年3月16日)
この要項は、平成30年4月1日から実施する。
附 則(令和4年3月17日)
この要項は、令和4年4月1日から実施する。