被ばく医療総合研究所では、外部及び内部被ばく線量評価、放射性核種及び環境放射線(能)の新規分析法・計測法の開発、放射性核種の環境動態解析、染色体異常を用いた被ばく線量評価や発がんのメカニズムなど、被ばく医療に資する基礎的研究を行っています。
青森県には多くの原子力関連施設があり、万が一の原子力災害や放射線被ばく事故に備えることが重要です。福島原発事故への対応を受けて、国の原子力災害時および平常時における被ばく医療体制が大きく見直され、弘前大学は原子力災害に対応するナショナルセンターに指定されました。本研究所メンバーはその中心的な役割を果たすことが期待されています。
また、弘前大学が掲げた戦略性が高く意欲的な目標・計画のひとつである「放射線科学・被ばく医療の国際的教育・研究拠点の構築」を推進する放射線被ばく医療の専門家集団として、国際的な視野を有する専門的人材の育成と世界トップレベルの研究開発にも取り組んでいます。
研究部門
計測技術・物理線量評価部門
計測技術・物理線量評価部門では、放射線(能)計測技術の開発と物理学的手法による被ばく線量評価を行っています。被ばくの状況を正確に理解するため、人体中のみならず環境中の放射線(能)計測や核種分析などを実施しておくことが必要です。被ばくが生じる場所での放射線の種類や放射能濃度から線量を推定し、その評価値を補完するために様々な試料を採取し分析を行います。
リスク解析・生物線量評価部門
リスク解析・生物線量評価部門では、迅速かつ高精度な細胞遺伝学的線量評価法の開発・改良を目的として、放射線によって誘発される染色体異常の分析を行うと同時に、職業被ばくや医療被ばくのリスク解析や生殖系列細胞における放射線影響に関する研究を推進しています。また、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故によって被災した浪江町の支援を行っています。
放射化学・生態影響評価部門
放射化学・生態影響評価部門では、被ばく線量評価のための化学的アプローチを行っています。生体試料中の放射性核種を分析することにより、人体への摂取量、残留量または排泄量、そして内部被ばくを評価します。内部・外部被ばく線量を評価するためには環境中放射性核種濃度分布や動態を明らかにすることも重要であることから、環境試料や農水産物などの分析および放射性核種の移行挙動に関する研究も行います。
国際連携・共同研究推進部門
「放射能環境動態・影響評価ネットワーク共同研究拠点」を標榜する国立大学共同利用・共同研究拠点の一つとして、国内外の共同利用・共同研究をこれまで以上に推し進め、それを新たな糧としてより多彩で広がりのある放射線科学研究を展開しています。
被ばく医療学部門
被ばく医療学部門では、本研究所他部門メンバーと連携し、被ばく医療に関連するテーマについて研究を行っています。また、国や関係する地方自治体及び医療機関、大学、専門機関等と適切な連携を図り、体制の整備・維持、高度専門教育研修の実施、訓練への参加及び助言・指導、ネットワークの構築等に取り組んでいます。
お問い合わせ
所在地 | 〒036-8564 青森県弘前市本町66-1 |
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TEL | 0172-39-5401 |