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平成26年度学位記授与式告辞(平成27年3月24日)

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 本日ここ弘前市民会館において、多くのご来賓とご家族のご臨席の下、平成二十六年度の学位記授与式を挙行するにあたって、一言告辞を述べさせていただくことは私にとって大きな喜びとするところです。それは、皆さんが勉学のみならず、学生生活のすべてを通して成長を遂げ、社会に羽ばたこうとしていることを幸いに思うが故の喜びであり、その意味で、皆さんの卒業を心からお祝いしたいと思います。皆さん、卒業おめでとうございます。

 さて、最近特に、我が国社会の近未来に関して、人口の減少と高齢化や、地方の衰退などの問題が提起されています。そのために私たちのできることは何かを考える時、私自身は無力感を感じざるを得ません。しかしながら、皆さんは、そうであってはならないばかりか、私たちの世代も、前向きにできることを考える必要があると思います。人口の高齢化には、長寿という、人類が常に希求してきた目標を、我が国が世界に先駆けて達成していることも一つの要因になっているのは間違いありません。一方で、そのことは、若い皆さんにとってこの先には大きな可能性と責務が横たわっていることを意味しています。皆さんの今後の行く末はさまざまでしょうが、それぞれの立場や活躍の領域にあって、社会への貢献を目指し、果敢に挑戦していただきたいと願っています。もちろん、挑戦が常に実を結ぶとは限らず、時には失敗もあるかもしれません。しかし、皆さんの持っている大きな可能性は、如何なる失敗によっても簡単に崩れるようなものではありません。例え失敗があったとしても、大切なのは、それを通して学ぶことであり、その教訓を将来に活かすことです。その意味で、自らの努力を失敗に終わらせるか否かは、皆さん自身にかかっているのであり、身の回りの環境や現実の結果が本質を左右することではないのです。どうか、失敗を恐れず、創造性を発揮することへの挑戦を忘れないでいただきたいと思います。

 私事ですが、この学位記授与式において告辞を述べることも四度目となりました。弘前大学教員として奉職させていただいてからは、四〇年になろうとしています。この間の経験を総括するとすれば、個人の、そして人類全体の歴史の中では、未経験、未曾有の事柄が数多く起こるものと今や認識しています。例えば、東日本大震災は、日本国民全体の対応が問われ、或いは特定の価値観の変更を迫られるかもしれない、最大の出来事であったのは間違いありません。震災対応の是非や、復興の成果の可否に関する判断は様々だと思いますが、少なくとも、災害や悲劇から力強く立ち直ろうとする、コミュニティーの、或いは社会全体の強い意志が最も大切であることを、私たちが学んだのは事実です。

 残念ながら、この先も皆さんの前途に何があるかを正確に予測することは不可能であり、想定外の出来事があるかもしれません。しかしながら、社会が大きな出来事に直面した時、皆さんがその対応をリードしていくべき人々であることは間違いありません。皆さんは、それに備えて学び、成長して来ましたが、その歩みを決して止めないようにと願っています。不確実な時代にあって、皆さんには、未来を力強く担うリーダーとしての自覚をしっかりと持って下さるよう社会は希望しています。

 ここまで、皆さんの卒業を祝う言葉としては、いささか明るさを欠くものになったかもしれませんが、皆さんの眼前には、洋々たる前途があることに間違いありません。皆さんのこれまでの努力を大いに称えるとともに、輝かしい未来に向けて船出しようとしている皆さんに、重ねて、大きな祝意を表します。皆さんはこれまで長きにわたって学ぶことのできた幸福と感謝の念を忘れず、そして、今後も学びの歩みを決して止めることのないよう心からの激励を送ります。

 終わりに、本日卒業される弘前大学生を今日まで支えて下さった、ご家族の方々や弘前市民の方々をはじめ、多くの方々に私からも感謝を申し上げます。そして、卒業生の皆さんにとっては、弘前大学で学んだ青春の一時期が、他のなにものにも代え難い良い思い出としていつまでも心の中にとどまることを願うものです。最後に最も大切な一言を申し上げます。なにより、皆さんの今後のご健勝とご多幸を心からお祈りして、告辞といたします。

平成27年3月24日

弘前大学長  佐藤 敬

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