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令和3年度大学院入学式告辞(令和3年4月5日)

学長告辞

 桜前線が足早に北上しており、ここ津軽の地が最も華やぐ桜の景色がまもなくやってきます。そのような中、ここ弘前市民会館において、令和3年度の大学院入学式を挙行できますことは、私たち教職員にとって大きな喜びであります。本日入学の日を迎えられた外国人留学生21名を含む大学院入学の336名の皆さんに対して、心から歓迎の意を表するとともに、お祝いを申し上げます。ご入学、誠におめでとうございます。新型コロナウイルスの感染のリスクを回避するため、簡素化した入学式となっていますが、皆さんに対する私たちの祝意や歓迎の大きさが変わることはありません。なお、この入学式の模様は、保護者の皆様や関係者の皆様に向けてライブ配信されています。ご視聴されている皆様方にも、どうか新入生を祝福いただきますよう、お願い申し上げます。
 皆さんは、大学における高等教育を修められ、最先端の研究を遂行するために大学院に進学されました。新たな研究テーマに挑戦し、飛躍する場が大学院であり、そのような場に一歩足を進めた皆さんの勇気ある決意に、学長として、また皆さんの先輩として、心から賞賛し、歓迎したいと思います。
 これからの研究生活では、より高度な知識や技術を修得するとともに、豊かな想像力と発想力、緻密な調査力、大胆な実行力、そして成果をまとめて論文に仕上げる表現力が必要とされます。研究対象の歴史と現状の課題を理解することに加え、日頃から、身近にある課題を発見する習慣と、真摯に深い議論を繰り返すことで、これらの能力が修得されるはずです。とはいえ、皆さんの研究が、たやすく成功するとは限りません。むしろ、失敗や計画の練り直しを繰り返すのが常であり、失敗の経験にこそ、研究の意義の大部分があるといっても過言ではありません。失敗を楽しむくらいの精神的余裕と、失敗を成功の糧とする分析力、そして諦めない継続力があれば必ず良い成果を得ることができると私は信じています。
 本学は、「世界に発信し、地域と共に創造する弘前大学」をスローガンに掲げています。地方都市にある弘前大学の研究環境は十分とは言えませんが、地域ならではのユニークな研究や、世界に通用するハイレベルな研究が各学部の教員のもとで行われています。本学の研究者の指導の下で重ねた皆さんの真摯な努力が、世界へ発信されるような大きな実を結ぶよう、心から願っています。
 研究に携わる者が、絶対に冒してはならないことがあります。残念ながら、研究活動上の不正行為に関する報道が、いまだ後を絶ちません。科学研究における不正行為は、科学を冒涜し、人々の科学への信頼を揺るがし、科学の発展を妨げるものであり、絶対あってはなりません。皆さんの研究テーマが壮大であればあるほど、立ちはだかる壁はより厚く、より高いはずです。研究活動の先に、幾多の困難が待ち受けようとも、高い研究倫理観を胸に、誠実に真理を追究する決意を、大学院での研究をスタートする今、新たにしていただきたいと思います。
 入学生の中には外国からの留学生もおられます。異国での研究生活に不安を抱きながら、今日の入学式を迎えていることと思います。実際に様々な面でご苦労を伴うと思いますが、皆さんが弘前大学大学院に留学された当面の目標がしっかりと達成されるよう、私たちは全学をあげて皆さんを支援してまいります。
 最後に、皆さんの先輩である大学院の卒業生からいただいた「一生精進、常に前進」という言葉を紹介します。これは、鮮やかな背負い投げを持ち味に「平成の三四郎」と呼ばれた、バルセロナオリンピック、柔道の金メダリストである古賀稔彦さんが、色紙に書いてくれた言葉です。ご存じのように、古賀さんは先月、3月24日、53歳の若さで急逝されました。彼自身も頂点を極め、また、アテネ・北京の両オリンピックで金メダルを獲得された谷本歩実さんをはじめ、多くの柔道選手を育てあげました。さらに、後進のスポーツ選手の育成に生かしたいと、古賀さんは2008年に弘前大学大学院へ入学しています。大学院では、スポーツ医学を学び、「スポーツ選手の筋肉の疲労や免疫力、心の状態」を医学的に研究し、医学博士号を取得しています。この言葉には、勝負の世界に限らず、真摯な心構えを持ち続けて一生懸命努力し、常に一歩でも前に進むことが重要なのだという、彼のメッセージが込められていると私は思います。「研究に対する強い心、熱意」をもってこれから研究生活を始める皆さんに、この「一生精進、常に前進」という言葉を贈りたいと思います。
 結びに、今一度、弘前大学における皆さんの大学院生活が、健康で、実り豊かなものになるよう祈念し、そしてまたウィズコロナ・ポストコロナ時代の日本および世界を創り、リードする人材へ成長する数年間となることを強く願い、大学院入学式の告辞といたします。ご入学、誠におめでとうございます。

令和3年4月5日

弘前大学長  福田 眞作

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