弘前大学

簡便で高感度な感染性新型コロナウイルス検出法を新たに開発

2023.02.13

プレスリリース内容

本学研究者

農学生命科学部分子生命科学科 森田 英嗣准教授
※森田准教授の紹介ページはこちら(「研究者総覧」へ)

本件のポイント

  • 感染性ウイルスを簡便かつ高感度で迅速に検出するシステムを新規開発
  • 迅速な抗ウイルス薬・抗ウイルス物質の検索、ワクチン効果検証が可能
  • 他のウイルス感染を検出するシステムへの応用も期待

本件の概要

抗ウイルス薬剤や、抗ウイルス活性物質の効果の検証は、実際に感染性があるウイルスについて調べる必要があり、PCR 検査や抗原検査ではなく、感染した細胞を検出するプラークアッセイと呼ばれる方法が用いられています。この方法は数日の時間を要し、かつ熟練の技術員による作業が必要とされています。今回、これに代わる方法として、感染性ウイルスを簡便かつ迅速に、そして高感度で検出する画期的な方法を新たに開発することに成功しました。

新型コロナウイルスは、感染すると自身の遺伝子にコードされている蛋白質分解酵素3CLproを活性化させ、新たなウイルスを作るために必要な材料を調製します。
今回、農学生命科学部の森田 英嗣准教授のグループは、大阪大学との共同研究で、この3CLproの働きによって活性化されるルシフェラーゼを改変したプロテアーゼセンサー「FlipNanoLuc」を世界に先駆けて開発することに成功しました。FlipNanoLuc は、特異的基質の添加により発光することから、実際にウイルスが細胞に感染したかどうかを発光測定によって高感度に検出できることを証明しました。

新型コロナウイルスが感染すると発光する仕組み

このシステムを利用することにより、抗ウイルス活性物質の短時間での評価が可能になり、膨大な数のサンプル処理を必要とする抗ウイルス薬の開発や予防ワクチンの開発に貢献できると期待されます。また、新型コロナウイルスに限らず、多くのウイルスは独自の蛋白質分解酵素を持つことから、今後出現する新たなウイルスの検出にも応用できる技術として期待されます。
本研究成果は、2023年1月31日に英国電子版科学誌「Scientific Reports」に研究成果が公表されました。

論文情報

掲載誌:Scientific Reports (2023) 13:1753
論文タイトル:A highly sensitive NanoLuc‑based protease biosensor for detecting apoptosis and
SARS‑CoV‑2 infection.
著者:Masashi Arakawa, Akiho Yoshida, Shinya Okamura, Hirotaka Ebina & Eiji Morita
DOI:10.1038/s41598-023-28984-4

プレスリリース

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本学お問合せ先

弘前大学農学生命科学部分子生命科学科 森田 英嗣准教授
TEL:0172-39-3586
Email:moritae(at)hirosaki-u.ac.jp ※ (at) は @ に置き換えてください