弘前大学

弘大腎移植チームの腎移植が100件に到達しました

2018.01.12

日本で慢性腎不全患者に対して最初に腎移植が行われたのは1964年で、青森県ではその僅か3年後の1967年に弘前大学医学部附属病院第一外科の山本 実先生が第一例目の腎移植を実施しました。その後、鷹揚郷弘前病院、八戸市民病院、八戸平和病院でも実施されるようになり、本県は腎移植のパイオニア的役割を果たしていました。ところが、2004年には医師不足を背景に、県内で腎移植が1件も実施されないという事態に陥り、腎移植を希望される患者さんは東京、仙台、秋田など遠方の施設を受診せざるを得ない状態になってしまいました。
そこで、この窮状を打開するために、2005年に附属病院の診療科の枠組みを超えた新しい腎移植ユニットである「弘大腎移植チーム」が立ち上がり、2006年6月に第一例目の生体腎移植を実施しました。臓器移植は究極のチーム医療です。泌尿器科、消化器外科、腎臓内科の医師が協力しながら、さらに病理部、薬剤部、麻酔科、手術部、看護部、検査部の援助を頂きながら、一例一例実績を積み重ねました。そして、2017年11月に「弘大腎移植チーム」による腎移植が100件に到達しました。生着率も非常に良好で、5年生着率は生体で97%、献腎で100%となっています。
現在、青森県内の腎移植認定施設は本院、八戸市民病院、鷹揚郷弘前病院の3か所になっていますが、どの施設も急な対応が要求される脳死下あるいは心停止下の腎移植に単独で対応するのは容易ではありません。そこで、県内の献腎移植に対応するために、施設の枠組みを超えた「腎移植チーム青森」を形成し、3施設で実績を上げています。定時手術が可能な生体腎移植は本院で実施し、緊急対応が必要な献腎移植は本院の「弘大腎移植チーム」が鷹揚郷弘前病院の手術場で移植をします。また、八戸市民病院で脳死下の臓器提供が出た場合にも本院のチームが鷹揚郷のスタッフと共に摘出チームを形成して支援します。
このような既成の枠組みを超えた腎移植実施体制は全国的にも類がなく、「弘大方式」「青森方式」として注目を集めています。そして、2017年2月には、本院から初の脳死下臓器提供が実施されました。事務の皆さんにも大変素晴らしい対応をして頂き、初めてとは思えないような円滑な臓器提供でした。臓器不全に苦しむ患者さんにとって、唯一の根本治療となるのが臓器移植です。「弘大腎移植チーム」の腎移植100件は単なる一里塚に過ぎませんが、これまでの皆様のご理解とご支援に感謝し、この素晴らしい医療が今後さらに発展、充実することを祈りつつ、紹介させて頂きました。
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