弘前大学

【プレスリリース】葉脈の損傷により養分獲得のための根の生長が阻害される(農学生命科学部)

2019.08.26

【本件のポイント】
・葉脈を傷つけると栄養獲得のための根の生長が阻害されることを発見した。
・地下部での土壌養分を獲得のための根の生長応答は、葉脈を通じた地上部からの情報伝達が関与していることを示唆した。
・動物による葉脈の食害は、植物の情報伝達を阻害し、栄養獲得のための応答を低下させる可能性がある。
【本件の概要】
弘前大学農学生命科学部の山尾僚助教と大学院生の大崎晴菜さん、カナダのアルバータ大学のJr Cahill教授は、植物の葉脈を傷つけると、土壌中の栄養分を効率的に吸収するための根の生長が阻害される現象を発見しました。植物は、多くの動物に餌として利用され、葉を食害されます。本研究の成果は、食害による葉の損傷が、単に光合成器官を減少させるだけでなく、土壌栄養分の吸収効率をも低下させてしまうことを意味しています。また、動物に葉のどの部位を食べられるのかによって、植物の栄養吸収効率に与える影響が異なる可能性があります。今後は、植物の情報伝達機構と動物による食害様式や部位を組み合わせて考えることで、動物による食害が植物にどのような影響を及ぼすのかを正確に予測することができると期待されます。
この研究成果は、日本時間の8月9日に「American Journal of Botany」誌に掲載されました。また、American Journal of Botany8月号の注目の論文として紹介されました。
図1)実験の概要
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