弘前大学

【プレスリリース】弘前市内公立小中学校に通う児童生徒の心の健康に対する 新型コロナウイルス感染拡大の影響について(医学部心理支援科学科、医学研究科附属子どものこころの発達研究センター、神経精神医学講座)

2021.03.15

本件のポイント
  • 弘前大学では2020年7月から2021年3月にかけて、弘前市内の公立小中学生の児童生徒とその保護者を対象に、新型コロナウイルスの感染拡大の影響と子どものメンタルヘルスの状態に関する調査を行っている。
  • 2020年7月調査に行った保護者調査(11370人を対象にし、9759人から回答を得た: 回答率85.8%)の結果、全体の4分の1程度の家庭に子育てのストレスの増加(26%)や経済状況の悪化(24%)があることが明らかになった。また、回答者の約半数程度に、勉強の利用を除いたスマホ・タブレットの使用時間の増加、ゲーム時間の増加がみられた。
  • また、子育てストレスの増加や経済状況の悪化があった家庭の子どもは、それらがなかった家庭と比べてメンタルヘルスの状態が悪く、新型コロナウイルス感染拡大による環境の変化から、悪影響を受けている可能性が示唆された。
  • 加えて、子どもの「回復力」や「弾力性」とも言われるレジリエンスが高かったり、食事を複数人で取るなど子どもと家族が関わる時間が多かったりする家庭では、子どものメンタルヘルスが良好である傾向があり、これらの要因がコロナ禍において心の健康を保つ上での保護因子となっている可能性が示された。
本件の概要

弘前大学(医学研究科附属子どものこころの発達研究センター / 医学部心理支援科学科/ 医学研究科神経精神医学講座 )は、弘前市教育委員会と連携して行っている公立小中学校の児童生徒を対象にした学校コホート調査(心のサポートアンケート)において、子どものメンタルヘルスと新型コロナウイルス感染症拡大との関連について継続的な調査を行っている。
当該調査の一環として行われた2020年7月調査(保護者調査)の結果から、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、子育てストレスの増加(26%)や経済状況の悪化(24%)があると回答した家庭が全体の4分の1程度と少なからず存在することが明らかとなった。また、約半数の家庭でスマホ・タブレット、ゲーム時間の増加があったことが報告された。これらの項目と子どものメンタルヘルスとの関連を検討したところ、図1に示した新型コロナウイルス感染症拡大に伴う様々な影響について、「あり」と回答した家庭の子どものメンタルヘルスが、「なし」と回答した家庭の子どもに比べて有意に悪い状態であるという結果が得られた。これは、コロナ禍による環境の変化が子どもたちのメンタルヘルスに悪影響を与えている可能性を示唆するものと考えられる。
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