弘前大学

【プレスリリース】日本人の認知症に対する認識や態度について(保健学研究科)

2021.07.09

本件のポイント

・認知症はがんに比べて、生活上の問題や法的な問題、感情的・社会的影響についてより恐れられている。
・認知症の有病率は実際よりも過大評価されている。
・自分が認知症になった時はできるだけ早く知りたいが、配偶者が診断された場合は本人にできるだけ早く知らせることには抵抗を感じる。

本件の概要

保健学研究科の大庭輝准教授らが、国内の大学病院の通院患者及び同行者およそ200名を対象に認知症に対する態度や一般的な認識、診断された場合の意向について調査した研究がBMC Health Services Researchに5月3日に掲載された。
最も恐れられている疾患はがんであり、認知症は2番目に恐れられている疾患であった。ただし、認知症はがんに比べて生活上の問題や法的な問題、感情的・社会的影響について、疾患を恐れる理由として多く挙げられていた。認知症の有病率に対する認識は、平均で65歳までに18.1%、85歳までに43.7%が認知症になると回答され、実際の有病率である1.5%(65-69歳)と27%(85歳)に比べて過大評価されていた。認知症になった時にできるだけ早く診断を知りたいと回答した割合は、自分の場合には95.9%であったが、配偶者が認知症と診断された場合に本人に対してできるだけ早く知らせたいと回答した割合は67.5%に減少した。配偶者に認知症の診断を知らせたくない理由として「できる限り普段通りに生活するため(75.5%)」、「不必要な心配を避けるため(73.6%)」が多く挙げられた。
これらの結果を踏まえて、認知症に関する啓発が必要であること、医師は認知症の診断について本人や家族と話し合うこと、診断に伴う様々な心理社会的影響を和らげるためのサポートが重要であることが提言された。論文に関する記事はHealthDayJapanから複数のメディア媒体に配信された。
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