2026(令和8)年6月18日、弘前大学創立80周年記念事業の先行事業として実施しているパラオ共和国への派遣プロジェクトの体験報告が、教養教育科目(教育学部 清水稔准教授担当)の講義内で行われ、約130人の学生が聴講しました。派遣プロジェクトは、太平洋戦争末期に激戦地となったパラオにおいて、戦争の悲惨さや平和の大切さを学ぶとともに、多様な価値観や異文化への理解を深めることを目的として実施しています。
講義の冒頭では、学生に「戦争」と聞いて思い浮かぶ言葉を挙げてもらい、「検閲」や「青森大空襲」などの言葉が出され、それぞれが持つ戦争のイメージが共有されました。続いて映像やニュースを通して、戦争は過去の出来事ではなく、現在にも続く問題であることが改めて示されました。
その後、人文社会科学部3年の野村杏奈さんから、パラオ派遣での体験報告が行われました。野村さんは、2025年2月の派遣参加をきっかけに、「青森とパラオをつなぐ会」を立ち上げ、クラウドファンディングを活用して再び現地を訪れるなど、交流活動を継続しています。
発表では、美しい海などのパラオの観光的な魅力が紹介される一方で、ペリリュー島の旧日本軍の防衛拠点であった千人洞窟や、バベルダオブ島に残る旧日本軍受信司令部跡、戦車、トーチカ(防御陣地)などの戦争の遺物・遺構が紹介されました。これらが現在もその場所に残されており、「戦争の爪痕が今も色濃く残っている」ことが語られました。
さらに、独立記念日のイベントに出店し、りんごジュースやこぎん刺しが好評だったというエピソードも紹介され、新たな交流が生まれている様子が伝えられました。野村さんは、「現地に行ったからこそわかる暑さやにおい、空気感がある」と語り、その体験により「戦争の悲惨さや平和の尊さをより実感できる」と話しました。また、「戦争の記憶を風化させてはならない」と述べ、若い世代が語り継いでいく必要性にも言及しました。
講義では、受講生の約8割が「パラオがこのような国であると初めて知った」と答え、意見交換では、「現地の人々は戦争をどう受け止めているのか」「なぜ親日といわれるのか」などの質問が寄せられました。また、「残された戦車の写真に衝撃を受けた。きれいな側面だけでなく、その背景を知ることが大切だと思った」といった感想も聞かれました。
終盤には、清水准教授より「なぜ戦争はなくならないのか」「自分が当事者だったらどうするか」といった問いが投げかけられました。学生からは「対話が必要」「相手の立場に立つことが大切」といった意見が出され、野村さんも「異なる視点で考え、対話を通じて歩み寄ろうとする姿勢が重要」と応じました。
講義後のアンケートでは、「戦争について改めて考えるきっかけになった」「パラオについてもっと調べてみたいと思った」といった声が寄せられ、学生が戦争や平和について、主体的に考える契機となったことがうかがえました。
【関連リンク】
本記事で紹介したパラオ派遣事業に関連して、2026(令和8)年8月1日(土)に武田一義氏を講師に迎えた講演会を開催します。ご関心のある方は、以下より詳細をご確認ください。





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