ライオン、弘前大学と青森県黒石市と共同で、「睡眠時の口呼吸」や「あまり噛まない」習慣が、歯並び悪化に関与する可能性を確認
2026.07.21
研究
プレスリリース内容
ライオン株式会社(代表取締役兼社長執行役員:竹森 征之 以下、ライオン)は、国立大学法人弘前大学(学長:福田 眞作 以下、弘前大学)と青森県黒石市(市長:今 大介 以下、黒石市)と共同で、黒石市内の全小学校を対象に、子どもの歯並びと生活習慣の関連性を調査しました。三者はこれまで小学5、6年生を対象とした調査を行い、口呼吸と歯並び悪化(叢生(そうせい)※1の発症)に関連がある可能性を明らかにしました※2,3。今回、新たに小学3、4年生から同じ児童を2年間追跡し、小学5、6年生時点の歯並びの変化を確認した結果、「睡眠時の口呼吸」と「食事の際にあまり噛まない習慣」が歯並び悪化(叢生の発症)に関与している可能性が認められました。
本調査は、口を起点とした健康増進に向けた取り組みの一環として、2019年から2025年までの7年間にわたり実施したものです。1つの自治体内の全小学校を対象に、同一児童を経年的に追跡した疫学研究は、全国でも稀な取り組みです。
- ※1 歯と顎の大きさが合わずに歯が部分的に重なる状態
- ※2 ニュースリリース「ライオン×青森県黒石市×弘前大学の共同研究 歯並びの状態と日常の生活習慣や癖が関係する可能性を確認」2022年10月19日
- ※3 Relationship between crowded dentition and oral habits in Japanese children aged 10–12 years: A cross-sectional study from the Kuroishi Oral Health Study. Sato et al., Global pediatrics 17 (2026) 100345
研究背景
ライオンは、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をパーパスに掲げ、口を起点とした健康寿命の延伸への貢献を目指した取り組みを実施しています。
歯並びや噛み合わせが悪いと、咀嚼機能に影響が出るだけではなく、歯が重なった部分に汚れがたまりやすくなり、むし歯などの口腔疾患を罹患するリスクが高まる可能性があります。特に、成長過程における歯並びや噛み合わせの悪化については、この時期の生活習慣や癖との関連が指摘されていますが、これまで十分な科学的エビデンスがありませんでした。
そこで、歯並びへの影響が大きい、乳歯から永久歯への生え変わり時期である小児期に着目し、日常の生活習慣・癖と歯並びとの関係性を明らかにすることを目的に、本調査研究を行いました。実施にあたっては、Well-beingな地域社会モデルの実現を目指した研究を推進する弘前大学と、「健康都市宣言」(2015年)を掲げ、学校における健康教育に積極的に取り組む黒石市と、ライオンの三者が共同で行いました。
研究内容
黒石市内の小学校に在籍する3~6年生の児童を対象に、2019年度から2025年度の7年間にわたり、調査を実施しました※4。年度ごとに歯並びの写真を撮影し、生活習慣・癖に関するアンケートや学校歯科健診データとの関連性を分析しました。歯並びの状態は、文献情報をもとに判定基準を設定し、歯列不正※5の有無を評価しました。生活習慣アンケートについては、対象となる児童の保護者に回答を依頼し、児童の口まわりの状態や睡眠時の様子、食事に関する癖や習慣等を中心とした設問を設けました。
- ※4 対象:保護者と児童本人の同意が得られた黒石市内の小学3~6年生(2019年度は小学4~6年生のみを対象として開始)
- ※5 歯の位置がずれている状態
研究結果
本調査では、乳歯から永久歯への生え変わり時期である小学3、4年生の時点の生活習慣・癖と、その後、乳歯から永久歯への生え変わりが進み歯並びの状態が比較的安定してくる小学5、6年生時点の歯並び悪化(叢生の発症)との関連性を解析しました※6。その結果、小学校3、4年生時点で、保護者が「睡眠時に口がよく開いている」または「時々開いている」と回答した児童では、2年後に歯並びが悪化(叢生の発症)した割合が、そうでない児童に比べて有意に高いことがわかりました(図1)。
- ※6 対象:本研究参加者のうち、3年生もしくは4年生で初めて本研究に参加し、その時点で叢生を発症しておらず、2年後の調査にも参加した発症者を含む計272名
また、食事の際の「噛む回数」と歯並びの悪化(叢生の発症)との関連性についても解析しました。その結果、小学3、4年生時点で保護者が「食事の際に、あまり噛んでいない」と回答した児童では、2年後に歯並びが悪化(叢生の発症)した割合が、そうでない児童に比べて有意に高いことが明らかになりました(図2)。
これらの結果から、成長期の子どもにおいて、「睡眠時に口を閉じて鼻で呼吸すること」および「食事の際にしっかり噛むこと」といった習慣が、将来的な歯並び悪化(叢生の発症)の予防に役立つ可能性が示唆されました。
黒石市児童のむし歯経験歯数の推移
黒石市における12歳児の永久歯のむし歯経験歯数の推移を確認したところ、本研究の参加者が含まれる令和2年以降、むし歯経験歯数は全体として減少傾向にあることが確認されました(図3)。本調査の結果を児童・保護者へフィードバックしたことや、学校での口腔保健授業など、産官学民が連携して行った取り組みが、現場の健康教育に加わったことにより、黒石市におけるむし歯経験歯数の減少に寄与した可能性が示唆されました。
今後の展望
当社は、オーラルヘルスケア領域の基本的考え方に基づく全ての企業活動を「LION オーラルヘルスイニシアチブ」※8として順次展開しております。その一環である当社オーラルヘルスケア新規事業の『おくち育』では、子どもの「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、将来の「生きる力」の土台となるオーラルヘルスケア習慣づくりに役立つ商品・サービスを提供しております。今後も本研究で得られた知見を活かし、子どもたちの成長を多角的に捉えたプログラムや情報発信を強化することで、口を起点とした健康寿命の延伸に一層貢献してまいります。
- ※8 ライオン中長期経営戦略フレーム「Vision2030」実現に向けたオーラルヘルス領域活動の総称。2022年8月8日発表。
詳細
プレスリリース全文は こちら(789KB)
お問合せ先
弘前大学医学研究科 イノベーション推進課
TEL:0172-39-5538





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