青森県と弘前大学のがん対策連携シンポジウムを開催
2024.02.09
地域
2024(令和6)年1月21日(日)、弘前大学創立50周年記念会館において、青森県と弘前大学のがん対策連携シンポジウム-青森県から日本一のがん対策・がん検診を目指して-を開催しました。
現在、青森県と本学が連携し「科学的根拠に基づくがん検診推進事業」を進めています。
これまで、青森県の喫緊の課題でもある、働き盛り世代の死亡率の低下を目指し、本学福田学長が青森県に対して新たな施策を提案したことを契機に、福田学長をはじめとする有識者による会議体を設置、この中で検討を重ね、「青森県における科学的根拠に基づいたがん検診の要綱案」を策定し、青森県知事に提言書を提出しました(令和3年11月)※1。青森県はこれを受け、要綱案及び提言に基づいて「青森県におけるがん検診事業の実施に関する要綱」等を策定しています。(令和4年3月)※2。
本シンポジウムはこの要綱の必要性、つまりなぜ科学的根拠が必要かということや、要綱に関する知識・理解を深めてもらうことを目的として開催したもので、当日は青森県内の医療従事者およびがん検診担当者、がん検診に関心のある方など約160名が来場しました。
第1部では、宮下青森県知事、福田学長、斎藤青森県がん検診管理指導監が登壇され、それぞれの立場から科学的根拠に基づくがん検診の必要性について講演された後、「青森県から日本一のがん対策・がん検診を目指して」をテーマとして、高木青森県医師会長を座長に登壇者3名によるディスカッションが行われました。
国の指針にない検診、つまり科学的根拠がない検診ではがん死亡率の減少は保証されません。その理由の一つに、命を脅かさないがんを無駄に発見すること、つまり「過剰診断」があります。過剰診断はどのがん検診にもありますが、前立腺がん検診や甲状腺がん検診では非常に多いことが分かっています。命を脅かさないがんを多く発見してもがん死亡率が低下しない(もともと命を脅かさないので、発見しなくてもがん死亡には至らないため)ばかりか、必要のない治療で副作用をこうむることもあります。このようにがん検診は不利益をもたらす可能性があり、だからこそ科学的根拠があるがん検診のみを実施する必要があるのです。
がん死亡率が最も高い青森県において、県内40市町村全てが同じ基準で科学的根拠に基づいた検診を実施していくことが課題解決に向けて最も重要であることを、関係者で理解、共有するために有意義なディスカッションとなりました。
続く第2部のフロアとの意見交換では高木青森県医師会長も参加され、事前に受け付けていた質問へ回答するとともに、会場からも多数の質問があり、来場者は青森県におけるがん検診の現状や、課題について知識・理解を深めました。
※1 【青森県におけるがん検診事業】についての提言書提出に関して
https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/61463/
※2 青森県HP【青森県におけるがん検診事業の実施に関する要綱等について】
https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/ganseikatsu/gan_youkou_aomoriken.html