弘前大学

【プレスリリース】青森県つがる市にて絶滅危惧種ⅠA類ガシャモクを発見(弘前大学)

2017.10.16

国内2箇所目の現存する自然個体群、国内の分布北限を大きく更新!【白神自然環境研究所】

つがる市の1湖沼において環境省が定める絶滅危惧IA類(CR)に指定された植物「ガシャモク(ヒルムシロ科)」が新潟大学教育学部 志賀 隆 准教授,首藤光太郎 研究員,市民グループ津軽植物の会,弘前大学白神自然環境研究所 山岸洋貴 助教による合同チームの調査によって確認されました。
これまでの国内の北限とされていた場所を500km以上更新する新産地の発見です。
【ガシャモクとは】
ガシャモク(Potamogeton lucens:ヒルムシロ科ヒルムシロ属)は、関東地方、琵琶湖、九州に分布していたとされる水生植物です。中でも、特に関東地方では肥料に用いられるほど多く生育していました。しかし、わずか100年間で水質汚濁による全国のほとんどで絶滅してしまいました。現在、自然集団は福岡県北九州市の一湖沼のみであり、今や幻の水草となっています。そのため、環境省レッドデータブックでは、国内での絶滅が懸念されている種の中では最も高いランクである「絶滅危惧ⅠA類(CR)」に指定されています。なお、これまで北九州市の一湖沼で行われていた保全活動が、北九州市に次いで最も近年まで本種の生育が見られた千葉県の手賀沼周辺で自然集団再生の取組が行われています。
【今回の発見の経緯】
2017年6月、環境省環境研究総合推進費「湿地の多面的価値評価軸の開発と広域評価に向けた情報基盤形成」事業の一環として行った青森県での現地調査において、ガシャモクの切れ藻を発見しました。葉柄が非常に短く、葉脈が目立つ特徴的な沈水葉を有していたことから、本種と同定されました。なお、ガシャモクを含むヒルムシロ属は他種との雑種をよく形成することが知られているため、他種との雑種ではないことを明らかにするために、葉緑体および核DNAの塩基配列が千葉県および福岡県産のものと一致することや、正常な花粉をもつことも確認しました。この成果については、論文を制作し、現在投稿中です。
詳細はこちら(PDF)をご覧ください。

ガシャモクの切れ藻

説明をする山岸洋貴助教(右)と津軽植物の会 石戸谷さん