弘前大学

国際共同研究により新しい手法が開発され、地すべりの過去を明らかに

2023.10.12

プレスリリース内容

本学研究グループ

農学生命科学部地域環境工学科 鄒青穎(ツォウ チンイン)講師
※鄒講師の紹介ページはこちら(農学生命科学部ホームページ「教員紹介」へ)

本件のポイント

  • 弘前大学農学生命科学部地域環境工学科の鄒青穎講師とオストラヴァ大学(チェコ共和国)、メキシコ国立自立大学(メキシコ合衆国)、中国科学院(中華人民共和国)が協力して行った樹木年輪年代学的手法による地すべり変動履歴の復元に関する国際共同研究の成果が、CATENA誌に掲載されました。
  • 樹木の年輪の偏心度に基づく地すべりの過去の動きを解明するための新しい手法が開発されました。
  • この手法は、日本(白神山地)、チェコ共和国、メキシコ合衆国、中華人民共和国における地すべりでテストされ、既知の地すべり年を正確に検出しました。

本件の概要

地すべりは環境に重大な影響を及ぼす自然現象であり、その過去の活動年を正確に復元することは不可欠です。この研究では、地すべりによって引き起こされる成長の異常の一つである「樹木の年輪の偏心度」を活用し、新しいアプローチを開発しました。このアプローチは、過去のアプローチの利点を組み合わせたもので、異なる地理的条件や異なる樹種、年齢の異なる樹木で日本(白神山地)、チェコ共和国、メキシコ合衆国、中華人民共和国における四つの地すべりでテストされました。これらの地すべりについては、活動年代が知られており、結果の分析はそれらの活動年に焦点を当てて行われました。このアプローチで、これらの既知の年を正確に検出することに成功しました。ただし、一部のケースでは地すべり前兆現象に関連するノイズも検出され、その原因については今後の研究となります。また、このアプローチは、季節ごとの精度でのデータには向いていませんが、従来の樹木年輪の偏心度分析を用いた方法と比較して明確な利点があります。具体的には、再構築されたデータを切り詰めず、地すべり信号を平滑化せず、厳密に定義された地すべり信号の閾値を使用します。

この成果により、地すべりの研究と予測に新しい視点が提供され、より安全な環境への貢献が期待されます。

論文情報

  • [論⽂名]Tree-ring eccentricity-based dating of landslide movements: Defining a new effective approach
  • [著書名] Karel Šilhán, Karla Aurora De la Peña Guillén, Teodoro Carlón Allende, Ching-Ying Tsou, Yong Zhang
  • [雑誌名] CATENA
  • [DOI] https://doi.org/10.1016/j.catena.2023.107576

プレスリリース

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本学お問合せ先

弘前大学農学生命科学 地域環境工学科 鄒青穎(ツォウ チンイン)講師
TEL:0172-39-3842
E-mail:tsou.chingyinghirosaki-u.ac.jp