弘前大学は、手術支援ロボットを使い、離れた場所にいる医師が手術を支援する「遠隔手術」の臨床応用を国内で初めて開始しました。
この取り組みは、一般社団法人日本外科学会(以下、日本外科学会)が進めてきた「手術支援ロボットを用いた遠隔手術の実現に向けた実証研究」の成果を、実際の患者さんの治療につなげるものです。「遠隔手術ガイドライン第2版」に沿い、安全性を最優先に特定臨床研究として実施しています。
2026(令和8)年8月に第1例目を実施し、これまでに5例の遠隔手術を安全に実施しました。
取り組みの概要
弘前大学医学部附属病院とつがる西北五広域連合つがる総合病院(青森県五所川原市)をNTT東日本株式会社の商用光回線(企業向けWAN(広域ネットワーク)サービス「Interconnected WAN」)で接続します。手術支援ロボット「hinotoriTMサージカルロボットシステム」を用いた手術の適応となる消化器がんの患者さんを対象に、離れた場所にいる医師が通信回線を介して手術を支援し、その安全性を評価します。
本研究は、弘前大学総合臨床研究審査委員会の承認を受け、臨床研究等提出・公開システムに登録しています(jRCTs022240038)。
背景と意義
日本では、外科医の不足に加え、高度な手術を担う専門医が都市部などに偏在していることが課題となっています。
遠隔手術が実用化されれば、通信ネットワークを通じて経験豊かな指導医が地域の外科医を遠隔から支援することが可能になります。これにより、患者さんが住み慣れた地域で専門性の高い外科医療を受けられる可能性が広がるとともに、地域で働く外科医への手術支援や教育にも役立つことが期待されます。
今回の臨床研究は、令和2~6年度に日本医療研究開発機構(AMED)の事業として、日本外科学会が進めてきた実証研究の成果を基盤としています。これまでの研究では、通信の遅延や安定性、安全なロボット操作、緊急時への対応など、遠隔手術を安全に行うために必要なさまざまな検証が行われてきました。その成果を踏まえて策定された「遠隔手術ガイドライン第2版」に沿って、今回、実際の患者さんを対象とした臨床研究へと進みました。
遠隔手術は、外科医不足や専門医の地域偏在といった我が国の課題を解決する新たな手段として期待されています。さらに将来は、日本の高い手術技術や優れた医療機器を、十分な外科医療を受けることが難しい海外の国や地域に届けるなど、国際医療への貢献も期待されます。
本研究を通じて遠隔手術の安全性と有用性を検証し、社会実装に向けた取り組みを進めることで、「どこに住んでいても、質の高い外科医療を受けられる」医療の実現をめざします。
また、本取り組みについては、2026年10月14日(水)に弘前大学医学部附属病院で記者会見を行いました。
会見は、福田学長のほか、袴田 健一 特任教授(現 国立病院機構弘前総合医療センター院長)、武冨 紹信 日本外科学会 理事長、森 正樹 日本外科学会遠隔手術実施推進委員会委員長によって行われ、臨床応用に至るまでの経緯や今後の展望、現在の医療課題などについて各先生方からご説明いただきました。
記者会見の様子
弘前大学医学部附属病院ホームページ




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